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デジカメ販売、コロナとスマホのWパンチ。各社はキャッシュバックで応戦!

デジカメ販売、コロナとスマホのWパンチ。各社はキャッシュバックで応戦!

「ブイログ」撮影を意識したソニーのデジカメ「VLOGCAM ZV―1」

新型コロナウイルス感染拡大の影響がデジタルカメラ業界を直撃している。カメラ映像機器工業会(CIPA)が1日発表した5月のデジカメ出荷台数は前年同月比72・6%減の36万9730台と、3カ月連続で前年同月に比べて半減以下となった。スマートフォン内蔵カメラの性能向上による市場縮小に加え、コロナショックというダブルパンチを食らう中、老舗のオリンパスがデジカメ事業売却を表明するなど、市場再編の動きが加速している。

5月の出荷台数の内訳は、レンズ一体型が前年同月比73・9%減の15万5207台、レンズ交換式が同71・5%減の21万4523台。レンズ交換式のうち、ミラーレスが同62%減の12万4250台、一眼レフが同78・8%減の9万273台だった。

地域別では、コロナ禍が落ち着き始めた中国向けが同24・4%減(前月比41・1%増)の10万7285台と回復の兆しを見せた一方、国内向けが前年同月比69・7%減の5万5376台、日本と中国以外のアジアが同79・2%減の3万3558台、欧州向けが同78・5%減の10万8426台、米州向けが同82・5%減の5万7138台と大幅に落ち込んだ。コロナ禍で外出自粛が続く中、量販店の営業停止などが響いたとみられる。

こうした中、カメラ各社は大規模なキャッシュバックキャンペーンを始めた。ニコンの販売子会社ニコンイメージングジャパン(東京都港区)は6月30日から9月30日までミラーレス一眼カメラ「Zシリーズ」の対象製品を購入した応募者全員に最大4万円をキャッシュバックするキャンペーンを実施。富士フイルムも1日から9月27日まで対象製品の購入で最大6万円キャッシュバックする。

また、コロナ禍対策として、デジカメをパソコンに接続して高精細なウェブカメラとして簡単に利用できるソフトウエアを相次ぎ提供した。ソニーは6月に動画ブログ「ブイログ」の撮影に役立つ機能を備えたデジカメを発売。パナソニックもブイロガー向け製品を海外で発表するなど、巣ごもり需要獲得に動く。

キヤノンは2月に発表した新製品「EOS R5」などについて「近々発売できるところまで来ている」。注目度の高い製品で市場の再活性化を図る。

ただ、老舗のオリンパスが映像事業を手放すことが決まり、カメラ市場の難局は一層鮮明になった。市場縮小とコロナ禍という二つの難題をどのように乗り切るか、コロナ禍の影響が長引けば、各社の業績がより厳しいものとなる。

日刊工業新聞2020年7月2日

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