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「我慢と工夫で対応する1年」。鹿島が見つめる建設業界

押味至一社長に聞く

―新型コロナウイルスの影響が経営に響いています。

「2020年度の連結当期利益は前年度から20%ほど下がる見通しだ。20年春に東京五輪・パラリンピック関連の大型案件が終わり施工高の減少は予想していたが、コロナの影響が加わった。国内の出件そのものが少なく一部で受注競争にも発展した。特に厳しかったのは海外事業。米国の開発案件は順調だったが、コロナの影響でアジアの工事が止まり経費分だけ赤字になった」

―今年の見通しは。

「コロナのワクチン接種が進み、東京五輪・パラリンピックに向けて人の交流も再開するだろう。ただ建設業界の動きはすぐには回復しない。我慢と工夫で対応する1年になる。海外工事が再開しても資材の調達が難しいだろう」

―リモート化やデジタル変革(DX)の取り組みは。

「通信や動画などの技術が向上し、検査や打ち合わせなどで活用できる。リモート化も促進する。また今年はデジタル化に大きくかじを切る。1日設置した全社横断型の『デジタル推進室』を中心に、外部とのオープンイノベーションを強力に進める。技術開発ではロボット化を進める。狙いは生産性向上だけでない。協力会社がロボットを活用して、若い担い手を確保する手段にしてほしい」

―人手不足対策も重要です。

「協力会社の人材育成を行う『鹿島パートナーカレッジ』を4月に開講する。ここでは協力会社の人材ももちろん、外国人技能者や女性を育成する。担い手の確保に苦労している協力会社のために、人材確保を強力に支援する」

―政府が環境対策を強化します。

「エネルギー政策上からも原子力再稼働に向けた施工が当社の責務だと考える。温室効果ガス排出ゼロに対しては、カーボンオフセットの取り組みを検討しないと、政府が目指す50年までに間に合わない」

―4月から新中期経営計画がスタートします。

「現中計はコロナの影響を受けたが、新中計は同規模(国内1600億円、海外2400億円)程度の投資を検討している」

記者の目/職場環境の改善急務

次期中計はDX化、環境対応などを重点に検討しているという。特にDX化ではデータ化による円滑な技術の伝承と、現場のロボット化による職場環境の改善が急務となっている。「働く人が、おもしろくワクワクする現場づくり」の重要性を強調する押味社長。担い手を確保する難しさと厳しさが浮き彫りになっている。(編集委員・山下哲二)

鹿島社長 押味至一氏

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