島津がPCRの結果をデータベース化、受検者に結果を自動で伝える
島津製作所は新型コロナウイルス感染症対策向けで、PCR検査結果のデータベース化と、電子メールなどで受検者に結果を自動で伝えるシステムの開発に着手した。3月までに実用化したい考え。データを基にリスクのある場所を解析するノウハウなども含めて提供。検査機関や医療機関、大学などと協力し、感染症対策を支援する。
英米などで始まったワクチン接種に期待が高まるものの、感染再拡大への対応や社会経済活動継続では、諸外国に劣る検査体制の強化が必要。個人が検査を複数回受けることや、抗体・抗原検査の広がりも想定され、検査の運用効率化が求められる。
新システムは島津製以外の分析装置のデータも統合管理できる同社独自技術を応用する。PCR結果の集約やデータベース化で島津製以外のPCR検査装置などのデータも吸い上げられるようにし、病院の電子カルテなどへの出力も可能にする。データベース化で感染源やリスクのある場所、クラスターの迅速な解析が期待できる。
現時点では人手で煩雑な検査結果の伝達を電子メールやスマートフォンなどを通じ、自動配信できる仕組みも含めたシステムを構築する。健康管理アプリケーション(応用ソフト)のような仕組みで受検者が自身の検査履歴を把握したり、現状はヒアリング中心で正確な把握が難しい濃厚接触者の特定精度を向上したりする仕掛けも考案中だ。
同社はPCR検査時間を大幅短縮する新型コロナ検出試薬キットを2020年4月発売。中小病院が導入しやすい低価格な全自動PCR検査装置も同11月に市場投入した。PCR検査事業や、大学へのPCR検査センターの設置支援も展開。病気解明や治療薬開発では同社分析機器が使われる。製品販売に留まらず、新システムで社会課題を解決する仕組み作りにまで踏み込むことで、感染拡大防止に貢献する。