収益力が増したみずほ証券、飯田社長が考える人材育成のこれから
金融人材、壁つくらず育成
みずほ証券は構造改革で収益力が増し、2020年度に経常利益1300億円を視野に入れる。23年度を最終年とする5カ年経営計画で経常利益1000億円を目標に掲げる中、上期の実績は823億円と、早くも1000億円を達成する見込みだ。今後安定的に1000億円以上を稼げる収益体質を目指す。体質強化を支える金融人材育成などについて飯田浩一社長に聞いた。
―銀行と証券のファイアウオール規制が金融人材を育成しにくくしているとの見方があります。「日本の金融人材は銀行・証券と区分けされている。壁をつくらずに金融人材としての力量・質を高めるためにも、相互の行き来を活発にしたほうが良い。情報共有の同意前提が規制緩和されると兼職しやすくなる。銀行・証券の金融人材の底上げができる」
「大企業を相手にするホールセール(法人)部隊は銀証兼職だが、将来的には中堅企業、個人担当でも兼職し、両方の立場で提案できると人材のすそ野が広がる」
―人工知能(AI)などを活用したリテール(個人)部門の取り組み状況は。「事前準備から事後対応までのさまざまな要素をスコア化し、顧客に信頼されるハイパフォーマーのスキルを汎用化する。営業担当者のレベル向上に向け、データに裏付けられたコーチングプログラムを整備中だ。単に商品を売れば良いのではなく、個人がレベルを上げてとことん顧客に向き合うことが重要で、営業員の理解も深まった」
―手数料体系の多様化に関する考え方は。「顧客の期待に応えられる質的な向上を意識し、それに見合う手数料をどう受け取るかというテーマだ。証券会社の供給側のロジックで体系をつくるのではなく、顧客に理解してもらえる観点で常時見直したい。根本から手数料体系を一気に変える検討をしているわけではないが、世の中の変化と同時に資産形成のニーズも広がる中で、継続的に考えていきたい」
―投資家それぞれで求める手数料体系は異なります。「長期保有する資産の中で、取引を多種多様に繰り返す場合、取引ごとにもらうよりは、資産全体に対して一定の手数料をもらうのが理にかなっている。節目ごとに取引する場合、残高ベースの手数料は負担になる。顧客の特徴によって手数料をもらうタイミングも変わるため、顧客本位の目線で検討したい」
長期・分散・継続投資を推進するグローバルエクイティ戦略は好調で、関連ファンドの残高は11月に3兆円を達成した。飯田社長は手応えを感じながらも「商品推奨ではなく、顧客ポートフォリオ全体のバランスを見ながら提案を継続することが重要だ」と話す。コロナ禍で対面・非対面を組み合わせた営業スタイルを進化させて人材力を高める。(高島里沙)