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三菱ロジスネクストの「物流MaaS」、荷主と運送会社が情報共有を突き詰める!

三菱ロジスネクストは、物流分野の新しいモビリティーサービス(物流MaaS)の実証事業に乗り出す。荷主と運送会社が配車や積み荷、運行情報などを共有し、一体で物流のQCD(品質・コスト・納期)を改善する仕組み作りに着手した。並行して省電力広域無線通信(LPWA)の位置測位デバイスやデジタル技術で、フォークリフトなど重量物の輸配送効率を高める取り組みも推進する。輸送費削減への改革の一環で、中小零細が多い運送業の競争力向上も期待でき、社会実装を視野に入れる。

モノづくりで部材サプライヤーを評価・支援してQCDを改善する仕組みを応用する。運送会社任せだった運行品質の確保を、IT機器も使って荷主も一緒になって改善する。事故の知見が豊富な複数の保険会社の協力も得て、2021年3月をめどに運送会社を評価するチェックシートのひな型を作る。

複数の大手運送会社が実証に協力する。Qは「事故率や運行・車両管理などの改善」、Cは「積載効率向上やムリ・ムダ・ムラの排除」、Dは「リードタイムや荷待ち削減など」を目標にする。現在に加え、過去のトラックの運行や整備情報の調査などを行い、QCD改善につながる評価指標を定める。

運転手不足の運送業では、業務効率化に加え、QCDの定量的評価を基に取引先拡大などが図れそうだ。

位置測位デバイスは本社工場(京都府長岡京市)と滋賀工場(滋賀県近江八幡市)から全国約300の販売拠点に出荷する積み荷(フォークリフト)に組み立て工程で取り付け、そこからの位置情報を検証。2工場から出荷する積み荷の連動、近距離の販売拠点間で顧客の了解を得た上での納期すり合わせなどでトラックの積載効率を高める。同社のリースやレンタル事業への応用、建設機械や重機メーカーなどでの活用も期待できるという。

日刊工業新聞2020年12月18日

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