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7割以上の値下げで急伸のマッスルスーツ、コロナで変化する客層

イノフィス社長・折原大吾氏インタビュー

海外・リハビリ向けに展開

イノフィス(東京都新宿区)は東京理科大発のベンチャーで、空気圧機器と人工筋肉で腰の負担を和らげるアシストスーツ「マッスルスーツ」を販売する。2019年11月、本体をアルミフレームから樹脂成形に切り替えるなどの取り組みで、価格を約50万円から13万6000円に引き下げ、売り上げが大幅に伸びた(金額は非公表)。新型コロナウイルスの感染影響が各所に広がる中、次の一手は何か。折原大吾社長に聞いた。

―19年11月に価格を引き下げてからの販売状況は。

「月数十台だった売り上げが、数千台と100倍近くになった。販売法も以前は展示会で客に1台1台、説明する形だったが、インターネットや代理店主体に変わってきている。家電量販店やホームセンターでの取り扱いも増え、チャンネルが広がった」

―新型コロナウイルスの影響は。

「展示会が中止されたことで対面販売がほぼ不可能になった。マッスルスーツは、客に実際に装着してもらわないと良さがわからない商品だ。動画を流す方法だと、どうしても一方通行になる。販売店や客に正しい装着法を理解してもらうことが、これまで以上に重要だ。安価だからと購入しても正しく使われないと、2度と使わない結果になる。我々の最大の目標は追加購入につなげること。装着法を指導するため、カスタマーサクセスチームを8月に立ち上げた。現在は数人だが今後、増やしていく」

―客層の変化は。

「以前は介護関係が6割以上だったのが現在は3割に低下し、その分、農業や製造業、倉庫業の割合が上昇した。農業ではイチゴ栽培の注文が多い。イチゴの収穫期は春だが、温室栽培の結果、ほぼ年中、作られるようになりマッスルスーツの出番が年間を通してある。工場や物流倉庫も以前は重量物運搬を2人でやっていたのが、3密回避のため1人でやらざるを得なくなり、マッスルスーツの出番が増えている」

―コロナ影響はいつまで続くと見ていますか。

「来年までは続くだろう。自粛や巣ごもり消費が長引いて生活モードが変わり、今までと違う新しい販売先を開拓しなければならない。一つは海外だ。台湾に加え、今後は中国や欧州、北米でも販売を目指す。少子高齢化や介護需要は世界共通だ。もう一つはヘルス機器への展開がある。マッスルの技術を腰以外、脳梗塞患者のリハビリや歩行訓練などに応用できないかと思っている」

イノフィス社長・折原大吾氏

【記者の目/ブランドイメージ守る】

価格を3分の1以下に引き下げたことで、同業他社との競争から抜けだした感のあるイノフィスだが、今後はアジア市場などで中国の安価なコピー商品との競合も予想される。正しい装着法の指導とともに、ブランドイメージをいかに守っていくかもポイントになるだろう。(編集委員・嶋田歩)

日刊工業新聞2020年9月22日

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