受けたいサービスを現実のものに!会計士の女性が保育園をつくったワケ
安心・美味しい・便利を追求
女性の活躍が叫ばれる一方、保育施設や保育士の不足が社会問題となっている。そうした中、名古屋市を拠点に保育事業を展開する美辺が注目されている。2016年に同社を設立した美辺香澄社長は元会計士。自身の体験から子どもを安心して預けられるような保育施設を目指し起業した。既成概念にとらわれず「子どもが幸せになる保育」(美辺社長)にこだわった事業を展開する。
【充実した体制】
「安心して預けられる保育施設がなく、質の良い保育施設は満員だった」。美辺社長は自身の経験を、こう振り返る。14年に長男を出産し、育休を経て会計士の職に復帰したが、満足のいく保育施設が見つからなかった。仕事と育児の両立に悩む中、それならば「自分でつくるしかない」(美辺社長)と決意。16年に起業し、名古屋市中村区に一時保育専用の託児所「はないと」をオープンした。
はないとは「安心・安全・広い・美味しい・便利」をモットーに掲げ、保護者や子ども、保育士ら従業員と、あらゆるステークホルダーの要望に最大限応じるスタイルを貫く。例えば営業時間は8時から22時まで。お泊まり保育にも対応する。予約制だが、対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」などを通じて当日まで申し込みを受け付ける。
給食にもこだわっている。愛知県の知多半島など地元の安全な食材のみを使い、託児所内の調理場で管理栄養士が調理している。また保護者が手ぶらで来られるよう、保育に必要な道具は全て託児所側で手配する。保育士も基準の2倍の人数を配置し、目が行き届く体制を整えている。
【口コミで広がり】
こうした充実した保育環境に満足する保護者が多く、利用者の大半がリピーターで、新規の利用者も口コミで広がっているという。一方で保育士のケアも欠かさない。シフト制の勤務体制を敷いており、時間を柔軟に決められるため子育て中の保育士も多数勤務している。
はないとのほか、事業所内保育園の運営受託や、各種施設の常設託児スペースの設営・運営受託など業容を広げている。美辺社長は「さらにサービスを広げ、より充実した時間が過ごせる保育施設を目指す」と意気込んでいる。(名古屋・岡林里奈)
【企業プロフィル】
▽所在地=名古屋市中村区名駅2の41の3▽売上高=非公表▽設立=16年(平28)2月