【開催中】最先端の計測技術がすごい!JIMTOFオンラインで多数登場
外さず移さず、再段取り不要 熟練作業を自動化
開催中の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)のオンライン版「JIMTOF2020オンライン」では、自動での機上計測や加工データの補正技術に関する新しい提案が目を引く。3次元測定機への加工対象物(ワーク)の移動をなくし、熟練が必要な計測作業も自動化。長時間を要する位置決め作業の繰り返しも減らす。完成時の精度向上に加え、リードタイムの大幅な短縮など効率化も提案している。(特別取材班)
DMG森精機は新たに二つの計測技術を出展した。業務提携するニコンの非接触レーザースキャナーを用いた機上計測システムは大型・複雑形状のワークでも短時間で簡単に非接触測定できる。ギアやタービンの形状など、3次元測定機では計測が難しかったものが機械でチャッキングしたまま測れる。「微妙な追い込み加工などにも使える」(森雅彦社長)という。
もう一つは高性能カメラを搭載し、機械から取り外さずに工具の状態を簡単かつ正確に把握できる機上工具形状測定システムだ。
碌々産業(東京都港区)は、微細加工向けに機上3次元測定・追い込み加工システム「COSMOS」を初披露した。ワークの3次元測定から誤差補正プログラム作成、追い込み加工まで一貫サイクルで対応する。
微細加工では、工具のたわみや摩耗の影響で図面形状通りに加工できない場合がある。その形状測定のためにワークを機械から移すと再段取りが難しく、新たな誤差が生じる可能性がある。海藤満社長は「取り外しを不要にし、一層の高精度化や歩留まり向上が図れる」と自信を見せる。
オークマは5面加工門型マシニングセンター(MC)の新旗艦機種「MCR―BV(ビー・ファイブ)」で、季節要因を含む微妙な加工空間ずれを察知する位置精度評価、高精度の機上計測と校正など、従来はオプションだった最新技術を標準仕様とした。
門型MCは同社の得意分野。半導体ウエハーの大径化や自動車の大型樹脂部品の採用増に伴い同分野の競合は激しい。MCR―BVは既存門型MCから価格は据え置き、機能を一気に充実させて他社との差別化を図る。
岡本工作機械製作所はコンピューター数値制御(CNC)研削盤に新開発の二つのソフトウエアをオプションで追加し、熟練者に頼るプログラミングの自動化を提案する。「OKAMOTO NCゲージ」は測定プログラムを自動で作成し、オペレーターのスキルレス化を図れる。「MAP研削ソフト」は機上ワークの情報を自動測定して、加工プログラムや加工・ドレスの条件を作成し、加工を全自動化する。