大日印がVR図書館を提供へ、書籍との新しい出会いの場に
22年めどに
大日本印刷は2022年をめどに、グループ会社の図書館流通センター(TRC、東京都文京区)と「バーチャル図書館」の提供を始める。11月にオンラインで開催される「図書館総合展」でベータ版を公開する。意外な書籍との出会いや郷土資料の展示など、図書館が持つ体験価値をオンラインでも提供するプラットフォーム(基盤)を構築する。
ベータ版は、キュレーター(学芸員)による選書紹介のコーナーや各地の郷土資料の展示など4カ所のエリアを仮想現実(VR)空間内に設けた。地図上の数字を選択すると、書籍や文化財の3次元(3D)モデルの前に移動。クリックやタッチ操作で、TRCの電子図書館サイトや歴史資料のデジタルアーカイブシステムなどに移動する。読書やコンテンツを閲覧するまでの過程を工夫して、検索結果を一覧表示する電子図書館の仕組みと差別化した。
日本各地の文化財を集めた展示や映像コンテンツの活用など、図書館では難しい企画も取り組みやすい。将来的には、アバター(分身)による他の来館者やキュレーターとのコミュニケーションも見据える。
TRCは国内の電子図書館サービスの導入実績が最多という。新型コロナウイルス感染拡大で多くの公立図書館が臨時休館の影響を受けたことからバーチャル図書館を企画した。図書館に体験価値の高いオンラインサービスを組み合わせることで、自治体にとっては同様の事態に備えた対策の選択肢が増え、書架に本を並べる業務などの負荷軽減や新設する館の面積の抑制にもつながるという。
大日印はVRや拡張現実(AR)などの技術をアニメ・漫画作品のIP(知的財産)活用に役立ててきた。今後も技術の活用先を広げる構えだ。