金融機関や行政の負担軽減、日立オムロンが開発した「本人確認装置」の仕組み
日立オムロンターミナルソリューションズ(東京都品川区、八木鉄也社長、03・5719・5500)は、窓口での手続きや相談に必要な本人確認処理を利用者自身で完結できる「本人確認装置」を開発した。顔照合用カメラで利用者の顔を撮影し、免許証などの顔写真人物と照合できる。金融機関や自治体など向けに、2021年度上期までに発売する。
免許証など本人確認書類の読み取り機構と、顔照合用カメラを搭載。顔写真の照合に加え、ICチップの読み取り機能や特殊光で書類の真正性も確認できる。指示に合わせた動作チェック、住居や職業などの必要情報の入力を利用者に促し、確認の精度を高めることも可能。
単体端末タイプと現金自動預払機(ATM)内蔵タイプの2種類を用意した。単体端末のサイズは幅130ミリ×奥行き140ミリ×高さ270ミリメートル。価格は、単体端末で約20万円を想定する。対象となる本人確認書類は運転免許証や在留カード、マイナンバーカードなど。
金融庁は18年に「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を公表。これに基づき金融機関では、窓口やダイレクトメールなどで定期的に、既に取引のある顧客に対して本人確認を実施している。ただ、行員数を削減する金融機関が増える中、窓口での確認作業が負担になっていたほか、メールへの返信率の低さが課題となっていた。
同端末の導入で、窓口業務の負担軽減やコスト削減が期待できる。利用者にとっても、窓口の混雑状況などにかかわらず、自分自身のタイミングで本人確認を済ませられる。
近年では、スマートフォンなどで手軽に本人確認を行えるソフトウエアの展開も進んでいるが、里本勝弘国内事業部副事業部長は、同端末を「より厳格な本人確認が必要なときに使ってもらえれば」としている。
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日刊工業新聞2020年10月27日