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コーヒー豆を年齢層に合わせてマーケティング、輸出増加を目指すインドネシア

インドネシアがコーヒー豆の輸出に注力している。新型コロナウイルス感染拡大により外食需要が低下し、輸出量も減少した。同国商業省はオンライン商談会を通じ日本や欧米への輸出増加を目指している。業界関係者は、日本市場でインドネシア産コーヒーがシェアを拡大するには、消費者の年齢層に合わせたマーケティングが必要と見ている。(取材=森下晃行)

「インドネシアの経済は成長段階にある」と同国商業省輸出振興総局のカサン・ムフリ局長は指摘する。製造業や鉱業のほか米やコーヒー豆などの農業が同国の主要産業だが、新型コロナ感染拡大でコーヒーの需要は世界的に減少した。

同国中央統計庁によると、2020年1―5月のコーヒー関連品の総輸出額は前年同期比で12・2%減った。こうした状況を受け、ムフリ局長は「輸出促進に注力していきたい」と強調。同国商業省はオンライン商談会などで国内外の販路を開拓し、輸出量の回復を狙っている。

インドネシアは、ブラジルやベトナムなどに次ぐ世界有数のコーヒー豆生産国。18年は約72万2000トンを生産した。スマトラ島、ジャワ島などで栽培が盛んだ。

「日本ではマンデリン、トラジャの認知度が高まってきた」と全日本コーヒー協会の内藤明専務理事は説明する。どちらも同国産の豆の銘柄で、マンデリンは酸味が少なく苦みが強い。トラジャは豊かな香りや甘みに定評がある。味の良さや希少性から徐々に需要が増えつつあるという。

同国産コーヒーが日本で広まる余地はどうか。日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、同国からのコーヒー豆輸入量は19年時点で約2万5000トン(約81億円)。変動はあるが、15年以降、輸入量は減少中だ。

一方、国内のコーヒー市場そのものは堅調。全日本コーヒー協会によれば、コーヒーの国内消費量は過去5年間で45万トン前後で推移し、緑茶や紅茶などに比べても「市場は順調に伸びている」(内藤専務理事)。

ただ、インドネシア産のシェア拡大には、輸入商社による安定供給に加え、小売店が消費者層に合わせマーケティングする必要があると指摘されている。同協会によれば40―59歳の男女は一週間に平均約13杯コーヒーを消費する。18―24歳の若年層の場合、男性は約7杯、女性は約4杯しか飲まないという。消費量が多い高年齢層は「豆の種類や生産国へのこだわりが強い」(内藤専務理事)。マンデリンやトラジャなど同国産コーヒーの特徴を示せれば消費につながりやすい。栽培地ごとの味や香りの違いも訴求点になる。コーヒーを飲むことが習慣化していない若年層には、レストランや喫茶店での販売など別の方法で消費を促す必要があるという。

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