防衛省が21年度に護衛艦「かが」を改修、最新ステルス戦闘機の運用を念頭
防衛省は2021年度に、海上自衛隊のヘリコプター護衛艦「かが」の改修に着手する。垂直離着陸ができる最新ステルス戦闘機「F―35B」の運用を念頭に飛行甲板へ耐熱塗装を施すとともに、艦首形状も三角形から四角形スタイルに改める。F―35Bを搭載可能にすることで、抗堪(こうたん)性と抑止力を高める。
「かが」は海上自衛隊の最大クラス護衛艦で全長248メートル×幅38メートル、同型の「いずも」や「ひゅうが」型護衛艦とともに、全通型飛行甲板を持つ。耐熱塗装を施すのはF―35Bが垂直離着陸する際のバーナー噴射熱に耐えるためで、艦首形状を四角にするのは離陸の際、乱気流が及ぼす悪影響を抑えるため。三角形だと艦の高速航行に伴って乱気流が発生し、あおりや横風を受けてF―35Bの離着陸が困難になる。F―35Bを運用する米海軍の強襲揚陸艦「エセックス」型などは飛行甲板に四角形を採用している。
沖縄・尖閣諸島周辺では20年4月に中国海軍の空母「遼寧」がミサイル駆逐艦や高速補給艦を従えて太平洋に進出、より大型の空母「山東」も就役するなど軍事的脅威が高まっている。
中国海軍の空母「遼寧」と「山東」は、いずれも固定翼戦闘機20―30機の搭載能力を持つが、ステルス性能が高いF―35Bを搭載可能にすることである程度、対抗できる。米海兵隊もF―35Bを持つだけに、共同作戦で抑止力をアピールできる。
今回の「かが」改修は、飛行甲板が主で格納庫改修は織り込まれておらず、改修後の離着陸訓練などで空母運用の道も探ると見られる。
日刊工業新聞2020年10月6日