長期化する新型コロナに備えよ!協働ロボットの引き合いが増加中
協働ロボ導入進む
協働ロボット戦線に動きあり―。産業用ロボットメーカー各社が協働ロボットの新機種投入や利活用促進に力を入れている。協働ロボットは産業用ロボットの使いやすさを磨いたもの。これまで労働力減少や省力化対応を背景に導入が進んでいたが、新型コロナウイルス感染症の影響で「3密(密閉・密集・密接)」回避策として活用の期待が高まる。ロボットメーカー各社は協働ロボット市場の拡大を進めるとともに熾烈(しれつ)な競争を繰り広げている。
「8月末から9月初旬にかけて実オーダーにつながる案件が増えだした。回復したとは言えないが、動きだした感がある」と直近の状況を明かすのは、協働ロボット専業メーカーであるユニバーサルロボット(デンマーク)の山根剛日本支社代表。協働ロボットにも新型コロナの影響が色濃く出ており、同社では6―8月が底だった。問い合わせはあったものの、実導入にはつながらない状況が続いていた。
8月末から動き始めたのは電機業界を先頭に三品(食品・医薬品・化粧品)業界、自動車部品メーカーなど。これらの業界では長期化する新型コロナに対応するため、コスト低減や省人化する方法として協働ロボットの導入を進めている。またロボット化による効果として「3密」の解消も見据える。山根代表も「(新型コロナで)一時的に止めていた予算を自動化に使い始めた」と予想する。
独KUKAの日本法人KUKAJapan(横浜市保土ケ谷区)も同様に需要の高まりを認識する。同社によると電気自動車(EV)や第5世代通信(5G)、IoT(モノのインターネット)などに使われる半導体の製造工程で協働ロボットの導入が進んでいるという。大田紘社長は背景として「一つは定年による退社など労働力不足を補填するため。また、新型コロナで人手による作業がリスクになった。重量物を搬送する作業の負担を減らす狙いもある」と複数の要因が絡んでいることを明かす。
一方、川崎重工業では一足早い6月中旬以降から協働ロボットである双腕スカラロボット「デュアロ」の問い合わせが増加している。同社はデュアロを活用して自社の企業博物館「カワサキワールド」(神戸市中央区)やショールーム「ロボステージ」(東京都港区)で自動検温システムを運用。また、PCR検体採取をロボットが行うシステムの検証を始めるなど、活用方法を提案していることが功を奏している。
川重ロボットビジネスセンターFAソリューション第二総括部システム部の吉桑栄二部長は「ロボットを世の中に提供できるよう、使いやすくすることに力を入れている」とアプリケーションの重要性を語る。
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