ゲリラ豪雨に対抗すべく進化したマンホールの仕組みに納得
吹き飛ばない次世代型提案
虹技は防災に強いマンホールふたの普及に力を入れている。同業3社と共同開発したふたを自治体に提案するほか、安全性を追求したふたの開発も進めている。自動車の増加や、地球温暖化による影響で頻発するゲリラ豪雨などマンホールを取り巻く環境は年々厳しくなっている。それだけに足元の安全を守る製品の開発や普及に努める。
【受け枠に工夫】
圧延ロールや自動車用金型を手がける虹技がマンホールふたの製造を始めたのは1968年、兵庫県西宮市の依頼を受けたのが始まりだ。最近は観光名所を描いたデザインマンホールの需要が増加。直近の数年間で350―400の自治体に納めている。同社によると2020年3月期の連結売上高212億円のうち、マンホール事業は約1割を占めるという。
災害に強いマンホールふたを作るきっかけとなったのがゲリラ豪雨だ。ふたは「受け枠」という土台の上に置かれ、ちょうつがいの鍵手2カ所で固定している。ふたと受け枠の接地面はテーパー状で、豪雨時にマンホール内の水が噴き出しそうになった場合、接地面の隙間から水柱が噴き出る仕組みになっている。
ただ、ふたの上を自動車が長年通過し続けると、ふたが上からの重みで受け枠に食い込み、隙間がなくなる。ゲリラ豪雨により雨水が下水管に流入すると、内部の空気圧に耐えられないふた自体が吹き飛び、車両や人に接触するおそれもある。
【4社共同開発】
気象庁によると、全国で1時間当たり50ミリ以上の豪雨が発生した年間平均回数は、1976―85年に比べ2010―19年には4割増えた。
そのような背景から同社含むマンホールふたメーカー4社が06年に『次世代型高品位グラウンドマンホール推進協会』を設立した。4社は防災対策用に共同開発した次世代型マンホールふたの営業を進めている。
開発品は、ふたと受け枠間のテーパー形状を工夫した。従来ならテーパー全面でがたつきを抑える形状を、テーパー上部は食い込み防止とした。同下部はがたつきを抑える2段形状に変え、ふたが食い込んでも隙間が生じるようにした。
マンホールふたの表面模様は各社で異なる。マンホール上を車が通過した際のスリップ抵抗値を試験機で調べ、表面全体が同じ数値になる模様を考えて車や人が通る際、ふた上で滑らないようにしている。
同社は、これまでに200以上の自治体に次世代型のマンホールふたを導入してきた。最近は豪雨被害を受けた自治体からの引き合いが目立つという。現在は次世代型マンホール営業のほか、協会の会員と開発したマンホールふたとは別に、自社で改良を加えたマンホールふたの開発も進めている。
まだ研究途上だが、金属につきものの腐食問題解決につながる耐久性の高い製品開発を目指している。マンホール事業を統括する萩野豊明執行役員は、新製品開発を通じて「プラスアルファで独自の性能を出してマンホールふたを進化させていきたい」と意気込む。(姫路・村上授)