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マンホールのふた、23年ぶりに規格改正。集中豪雨・老朽化に対処

マンホールのふた、23年ぶりに規格改正。集中豪雨・老朽化に対処

豪雨時にマンホールのふたが外れ、人が転落した事故もある(都市部のゲリラ豪雨=イメージ)

 経済産業省は下水道用マンホールのふたについて、集中豪雨や老朽化への対策を徹底するため、関連する日本工業規格(JIS)を約23年ぶりに抜本改正する。豪雨時にふたが外れ流失する問題があるため、こうした事態を防ぐ機能を規格に盛り込み、同機能の普及や周知につなげる。維持管理などに関する要領も追加し、国内設置数の2割に当たる約300万個が耐用年数を過ぎている老朽化問題に対処する。新たな規格を20日に公示する計画だ。

 下水道用マンホールのふたに関するJIS規格「JISA5506」を改正する。集中豪雨の頻発や老朽化問題などを踏まえ、1995年以来となる抜本改正に踏み切る。

 豪雨に備えた「圧力解放耐揚圧」機能を新たに規格に盛り込み、適合要件の一つとする。同機能は、ふたが下方向から受ける空気圧や水圧を逃がす仕組みにより、マンホールから外れるのを防げる。

 旧来のマンホールでは、豪雨時は下水道内の水量増加により圧力が高まり、ふたが外れる危険性が生じる。過去には、ふたが流失したマンホールに人が転落し、死亡する事故も起きた。

 新たなJIS規格にはこのほか、ふたの維持管理などの手引となる要領も設け、老朽化対策を促す。日本グラウンドマンホール工業会によると、国内に約1500万個設置されている下水道用マンホールのふたのうち、300万個近くが国が15―30年に定める耐用年数を過ぎ、スリップ事故などの危険性が高まっている。年10万個程度交換されているが全て換えるには数十年かかるため、維持管理の強化が求められている。
日刊工業新聞2018年12月5日

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