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NTNが風力発電の状態監視システムの精度向上へ、雷検知など外部システムと連携

NTNが風力発電の状態監視システムの精度向上へ、雷検知など外部システムと連携

風力発電設備内に設置したNTNのCMS

NTNは洋上などで導入が増える風力発電設備向けの状態監視システム(CMS)について、異常検知精度を向上し、雷検知などの外部システムとの連携サービスを拡充する。電力事業者や発電設備メーカーに設備稼働率を向上できる点を訴求。国内のほか台湾、東南アジア、中国といった海外市場の開拓も進める。2027年3月期のCMSと関連サービスの売上高で、20年3月期比約10倍の10億円を目指す。

異常検知については現在、主軸受、増速機、発電機の振動データを解析している。振動に加えて回転速度も解析することで検知精度をさらに高める方法を開発中で、実機の評価も始めている。

外部システム連携は、雷や突風などを検知するシステムとCMSを連動し、それらの出来事が起こる前後のデータ変化を分析して設備に異常がないか確認する機能のサービス化を検討中だ。自然災害時などに設備を止めずに遠隔地から異常を確認できるメリットを見込む。すでに雷検知システムとの連携サービスは、個別の実証事業に限って数十台を納入した実績がある。

NTNのCMSは自社製の風力発電設備用軸受とのセット提案や異常検知、リース提供などのサービスが強み。12年に投入し累計200件以上の納入実績がある。特に20年3月期は前期を大幅に上回る約40台を納入し、21年3月期はさらに増える見通しという。

27年3月期までに検知精度向上や外部システムと連携するサービスを加えて付加価値を高め、新設の設備や老朽設備の更新向けの販売を増やす。海外向けは現状、ほとんど開拓できていないが、日系の発電事業者がアジアで計画する新設設備などに提案を増やし、27年3月期に海外比率3割程度を目指す。

日刊工業新聞2020年9月24日

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