毎年100店舗を出店、「まいばすけっと」の快走はどこまで続くか
都市型ミニスーパーのまいばすけっとが快走を続けている。2018年以降は毎年100店舗を出店し、23年には現状(9月現在898店)比2・2倍の2000店を目指す。大手コンビニエンスストア各社が野菜などの生鮮食品や冷凍食品の販売強化でミニスーパー化に舵(かじ)を切る中、本家本元のミニスーパーはどう勝ち抜くのか。古沢康之社長に聞いた。
―今期(21年2月期)も100店以上出店しますか。
「新型コロナウイルスの影響で出店先物件の交渉が遅れる事例もあり今期は100を少し下回る。ただ商圏があるところへ積極的な出店は継続している。都内23区内などには、家族や単身者が住み始めたのに生鮮食品を買えるスーパーがないエリアが多い。『1店舗の商圏は3分以内』を基準にドミナント出店する」
―大手コンビニも生鮮を扱い、地域ニーズに合った店づくりにシフトし始めました。
「コンビニ以外にも、ネットスーパーが台頭し、外食産業も総菜を販売するなどの乱立状態で、業界の垣根なく闘わないといけない。当社の強みは、小さい店ながら1回の買い物で完結できる点。生鮮品のほかに調味料なども買える。価格帯がコンビニより安いのも強みだ」
「産直野菜やオーガニック野菜の販売量を増やしてきた。プライベートブランド(PB)の『トップバリュ』を持つイオングループのリソースを使って、まいばすけっと専用PBも増やす。将来は1店舗当たり2500SKU(品目)のうち半分まで高めたい」
―この他に新型コロナで変化したのは。
「うちはすべて直営店で『全店統一の品ぞろえ』が基本。店によって大きく異なることはないが、お客さまのニーズの変化に合わせて小分けだった商品を、家族分用に容量を増やすなど商品構成は変えている。少し遠い大型スーパーに行っていた人たちが、近くのまいばすけっとを使うようになっている」
―全店直営も強みですね。
「店のパート社員らが複数店で勤務するのがスタンダードで、これが成り立つのは品ぞろえやオペレーションが全店同一だからこそ。標準化されたフォーマットがある。都市部に出店しているため家賃や人件費は高くなるが、このフォーマットを使って最低限の人数で運営するローコストオペレーションを維持し、低価格で商品を提供している。ある特定店だけ大繁盛というのも望んでいない。標準的な作業でなくなるからだ。フランチャイズ契約とは大きく違う部分だろう」
―今後の展開は。
「一部店舗で宅配はやっているが、店内が狭くて商品をストックできないためネットスーパーはできていない。違う方法を考える。将来、海外展開は挑戦したいが、今は国内で足元を固める時期だ」
【記者の目/小売り他社の脅威の存在】
大手コンビニ3社の20年2月期の店舗純増数は合計200店だった。まいばすけっとは81店で、勢いのほどがうかがえる。営業利益も年々増加しており、20年2月期は20億円だった。繁盛店を望まず、直営のメリットを最大限生かしてじわじわと店舗数を増やし、利益も上げる。小売り他社から見れば脅威を感じる存在だろう。(編集委員・丸山美和)