目視外飛行解禁でドローンのIoT技術搭載が急務!自律制御システム研が挑む
自律制御システム研究所は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「安全安心な飛行ロボット(ドローン)基盤技術開発事業」で、基幹企業に選定された。政府調達向けを想定した高セキュリティー・低コストの標準機体とフライトコントローラーの標準基盤を2020年度中に開発する。官公庁や通信、電力会社、自治体向けに普及を目指す。
「ドローンは今や空撮機器ではなく、IoT(モノのインターネット)機器に進化している」と自律制御システム研の鷲谷聡之社長は指摘する。ドローン市場は飛行規制緩和や機体性能の向上が進むにつれ、規模が広がってきた。当初は空撮や橋桁点検、農薬散布、測量などの利用が主体だったが、離島や山間部で目視外飛行が解禁されたことで物流などで用途拡大が期待されている。ドローン市場拡大の動きを受け、国は22年に都市上空を含む目視外飛行ルールを整備する予定だ。
目視内飛行時は見ている範囲で機体を飛ばすため、基本性能はラジコンヘリコプターと大差なかった。しかし目視外飛行になると遠隔地の機体を制御するためにIoT技術などが必要になる。具体的にはコースに沿って飛ぶ技術や速度、進行方向、姿勢などの制御、画像を人工知能(AI)で分析して点検リポートを作成し、画像情報を基に自分の位置を判断して自律的に飛行する技術などが求められる。ドローン同士が衝突しないための認識技術も必要だ。
ドローンは制御技術を中心にカメラやセンサーなどの周辺技術、システムなどを一気通貫で開発していくことがカギになる。自律制御システム研は機体の設計から部品調達など全て自社で手がけている点が強みだ。NEDOプロジェクトでは、これまでの実績やノウハウを生かしIoT機器としてのドローンの高機能化に取り組む。高コスト課題の解決とともに、IoT技術を駆使して安全性も高めていく。(編集委員・嶋田歩)