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「逆おさがり」現象、メルカリに新ムーブメントが起きている

メルカリと博報堂生活総合研究所がまとめたフリマアプリ「メルカリ」の取引実態調査によると、年下の出品者から商品を買う「逆おさがり型」が全体の27・0%を占め、年上の出品者から購入する「おさがり型」の20・5%を上回った。生活スタイルの変化でリアルな交友関係での“おさがり”が起こりにくくなる中、従来のリアルコミュニティーでは生まれにくかった“逆おさがり”という新たな文化をフリマアプリが生み出している。

【30代→50代に】

調査は2019年のメルカリの取引データから全1199商品カテゴリーごとに出品者・購入者の年齢分布を検出した。このうち、「逆おさがり型」の取引で多い商品は、コーヒーなどの嗜好(しこう)性飲料、ドライブレコーダーなどの安心ツール、入浴剤などのぬくもり関連品。30代から40・50代に循環している傾向にあるという。

例えば、コーヒーの場合、出品者の平均年齢が38・8歳、購入者の平均年齢が43・7歳だった。お茶など他の嗜好性飲料も出品者は30代、購入者は40代が最も多い年齢分布を示している。贈答品などを自宅で使い切れない下の世代から上の世代にモノが循環していることがうかがえる。

【部活引退組も】

主にボールが取引されている「練習機器(野球)」でも出品者の平均年齢が37・4歳、購入者の平均年齢が38・9歳と、逆おさがり型の傾向がみられた。18歳の出品者が突出して多い一方、購入者は40代前半が多かった。部活を引退した18歳の高校球児から、野球を始める子どもを持つ親や指導者に“逆おさがり”していることが分かる。

一方、年上から年下への「おさがり型」で多かった商品はダーツ、マージャン、フィルムカメラなどのオトナ文化関連品、美顔ローラーなどの美容品だった。

ダーツの場合、出品者の平均年齢は33・3歳、購入者の平均年齢は30・4歳。成人したばかりのZ世代(90年代半ば以降生まれ)に、年上のミレニアル世代(80―90年代前半生まれ)からオトナ文化が継承されている様子がうかがえる。

美顔ローラーの平均年齢は出品者が38・4歳、購入者が33・9歳だった。美容に目覚めた20歳前後のZ世代がミレニアル世代から美容品を受け継いでいる傾向にある。

【循環型に貢献】

メルカリジャパンの田面木宏尚最高経営責任者(CEO)は「近所のリアルコミュニティーで衣服や学校用品などを受け渡していた文化の新たな選択肢や可能性をスマートフォンやフリマアプリが拡張している」と指摘。「売却を前提にモノを大切に使う傾向が出ている。家の中にモノがあふれて新しいモノが買えない“もの詰まり”をフリマアプリが解決できる」とし、循環型社会実現への貢献に寄与できるとの見方を示した。

日刊工業新聞2020年9月3日

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