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変革に取り組む伊藤忠CTC、模索するウィズコロナ時代の働き方

変革に取り組む伊藤忠CTC、模索するウィズコロナ時代の働き方

週5日の在宅勤務を認めたことで、オフィスは閑散としている(CTC提供)

コロナ時代の業務見極め

朝方勤務の導入や時間単位有給など、2014年から働き方「変革」に取り組んできた伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)。現在、ウィズコロナの時代に合った働き方を模索している最中だ。オフィスで働くことの意義やテレワーク環境下での社員同士のコミュニケーションの取り方など、専門チーム内で議論が進められている。(狐塚真子)

CTCは新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、4月3日から原則在宅勤務としていた。緊急事態宣言解除後は出社頻度を週2日まで拡大したが、6月からは感染者が増加傾向にあることから再び週5日間の在宅勤務を認める方針を出した。出社率は7月下旬で15%となっている。

これまで同社は働く時間・場所の自由度を高めるための取り組みを多く実践してきた。17年には総務省など各省や関係団体が連携して取り組む「テレワーク・デイ」に参加したほか、20年4月には週2日間までのテレワークを認める制度を全社的に導入。これに先駆けて16年からは勤務をしながら保育所の送迎や通院、介護など柔軟に対応できるよう、1時間単位で有給が取得できる制度を適用している。

場所や時間にとらわれない自由な働き方を実現してきた同社。これまでウェブ会議ツールの導入やシステムの増強も行ってきた。そのため、コロナ禍でもスムーズに在宅勤務へ移行できたという。

次藤智志人事総務室長代行兼人事部長は、今後の勤務形態について「出社と在宅のハイブリッド方式を採用する方針」と語る。同社は緊急事態宣言下にオンラインでのワーキンググループを編成し、オフィスの在り方や社員の管理方法など議論してきた。そこで年内には会社としての方針を固めたい考えだ。

その際に「社内でできること・やるべきこと」「社外でもできること」の見極めに重点を置く。例えば営業方法を後輩社員に伝授する場合、リモートでは伝わらないことも多い。オフィスや対面でのやりとりに何を求めるのか議論し、同社らしい働き方を追求する。

一方で、在宅勤務を通してテレワーク環境下でのコミュニケーションが課題として浮上してきた。在宅勤務でオフィスのように気軽に雑談や相談ができなくなったことで、煩わしさや寂しさを感じる人も少なくない。そこで部署や課ごとにウェブ会議ツールを活用した「雑談会」を週1回程度実施している。

テレワーク下でのコミュニケーション不足解消のために雑談会を開催(CTC提供)

また、コロナ禍でオンライン研修が続いていた新入社員に対しては課長とオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)トレーナーによる継続的な支援を行っている。積極的な交流により、テレワーク環境下でも社員同士の結束力を維持していく考えだ。

顧客との対話方法も模索する。次藤人事部長は「在宅勤務中にさまざまなツールを試して、お客さまに提供していくこともミッションの一つ」と話す。社内で新しい働き方を実践し、得られた課題と解決策をビジネスにも還元していく。

日刊工業新聞2020年9月2日

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