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「デジタルPCR」で国際比較を可能に、コロナ検査の信頼性は向上するか?

国際度量衡委員会(CIPM)の作業部会は、遺伝子を高感度・高精度で絶対定量できる「デジタルPCR」で、検査の“物差し”となる技術の信頼性向上を目指した「国際比較」プロジェクトを開始した。新型コロナウイルス感染症に関するPCR検査結果でのバラつきや偏りを抑えるのが狙い。PCR検査の信頼性が高まれば、より効果的な感染防止対策につなげることができる。

英米中の3カ国で構成される同プロジェクトの幹事国は、新型コロナの遺伝子配列の一部を含む合成RNAを作製。プロジェクトに参加する各国の計量標準機関に合成RNAの試料溶液を6月末に配布した。参加機関は濃度が知らされていない合成RNAの試料溶液をデジタルPCRで測定し、測定値を9月下旬までに幹事国に報告する。今秋にも幹事国は参加国からの報告データを集計し速報値を出すとみられる。

新型コロナの感染確認のため、医療機関はPCR検査を実施している。だが検査キットやプロトコル(手順や条件)などの違いで検査結果にバラつきが見られる。検査の信頼性を高めるためには、新型コロナ遺伝子定量のための分析の基準となる「標準物質」や標準測定法の開発、プロトコルの標準化などが必要。さらに標準物質や標準測定法を作るには検証された測定能力がが求められる。

デジタルPCR法を基に国際的に信頼できる遺伝子定量技術を確立できれば、新型コロナに関わる検査キットの性能や検査機関で出された検査結果を国際レベルで保証できる。

日本の計量標準機関として、産業技術総合研究所計量標準総合センターが同プロジェクトに参加している。高精度に定量できるよう測定条件を最適化した改良型のデジタルPCR法を利用し、8―9月に試料溶液を測定。濃度未知試料のRNAの濃度を決め、結果をプロジェクトの幹事国に報告する。

国際比較の結果は、各計量機関の校正・測定能力(CMC)を宣言する際の重要な証拠となる。製品や食品の試験データの信頼性を海外の顧客や規制当局から求められた際、CMCのトレーサビリティー(履歴管理)を示した試験成績書は国際的に通用する“パスポート”となり、国際的な商取引を円滑にしている。

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