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データサイエンス教育充実へ6大学が手を組んだワケ

急伸ニーズに応える

滋賀大学、総合研究大学院大学など6大学は20日、データサイエンス(DS)系の学部・大学院の専門教育強化で連絡会を立ち上げた(写真)と発表した。急伸するデータサイエンティストのニーズに応えるべく、教育の質の確保や教員養成の方策で情報交換し協力する。統計学の研究者層が薄い日本では、博士研究員(ポスドク)を教員候補にするなどの工夫が期待される。

発足した「データサイエンス系大学教育組織連絡会」はほかに長崎大学、兵庫県立大学と、新学部を準備中の一橋大学、立正大学が参加する。DSは情報科学や統計学と、ビジネスなどの文理融合の新分野。同分野で先行する総合研究大では、約30年の歴史で社会人学生からも研究者が育っている。

連絡会の竹村彰通会長(滋賀大データサイエンス学部長)は「現在、日本で約10のDSの学部などがあるが、数十になってもおかしくない」と現状を説明。その上で「教員確保という最大の問題の解決などに取り組みたい」と述べた。

日刊工業新聞2020年8月21日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
滋賀大から始まったデータサイエンス(DS)学部は、政府のAI戦略と相まって新設が続くが、以前から「教えられる人がそんなにいるのだろうか」と不思議に思っていた。今回の記者会見で、「ポスドクなら文理どちらかで博士号を持つので、逆の文理の学びをプラスすれば教員候補になるのでは」と質問すると、その通りだとの答えが連絡会の竹村会長から返ってきた。今、活躍している人も実際、他分野からの流入が目立つという。少しがんばって高度データサイエンティストに転身できれば、教員ポスト獲得だけでなく、高給与での民間からも引く手あまたではないだろうか。

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