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10月14日は「鉄道の日」通勤と観光がますます楽しく!

最新技術が投入される通勤列車、乗る楽しさを追求する観光列車
10月14日は「鉄道の日」通勤と観光がますます楽しく!

西武鉄道が新型通勤車両に新設した「パートナーゾーン」


ななつ星が牽引する「観光列車・大国」


 JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」をはじめ、全国的にユニークなコンセプトや豪華な観光列車が話題になっている。띱 特に多くの観光列車を走らせているJR九州では、10作目となる「或(あ)る列車」が15年8月から運行を開始した。或る電車は1906年に当時の九州鉄道が米国のブリルに発注したものの、九州鉄道が国有化され活躍の機会がなかった幻の豪華列車。鉄道模型の大家である原信太郎氏が残していた模型から再現した。
 
 車両全体が金色で、フロント部分に金と黒の唐草模様をあしらい豪華さを演出している。外観や内装は、ななつ星も手がけた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が設計、デザイン。スイーツ列車をコンセプトに車内では九州の食材を生かしたスイーツのコースを堪能できる。
 
 JR東日本でも15年4月からフルーツの生産が多い福島の魅力を生かしたスイーツ列車「フルーティアふくしま」を運行している。フルーティアふくしまは〝走るカフェ〟がコンセプト。磐越西線の景色を楽しみながら福島の旬のフルーツを使ったオリジナルスイーツを食べられる。こうした沿線の食材を生かしたこだわりの〝食〟と景色をゆっくり堪能できるのは観光列車の魅力の一つだ。
 
 北陸新幹線開業で注目が高まる北陸では、15年10月3日から七尾線で観光列車「花嫁のれん」、10日から城端・氷見線で「ベル・モンターニュ・エ・メール(愛称・べるもんた)」の運行を始めた。運行はJRグループ6社が10―12月までの3カ月間、富山県、石川県、福井県の北陸三県で観光資源をPRする「北陸デスティネーションキャンペーン」の一環。
 
 また北陸新幹線開業前の15年1月にも観光資源を作り出すことを目的に、富山地方鉄道が水戸岡氏デザインの市電「レトロ電車」を運行開始している。
 
 観光資源として地域活性化に期待

 一方、北陸新幹線に並行して長野県内を走る在来線を運行するしなの鉄道「ろくもん」も水戸岡氏がデザイン。首都圏からの観光客が沿線の軽井沢などを通過して北陸に吸い込まれてしまうことを懸念し、15年7月から運行を始めた。低予算ながら水戸岡氏がななつ星の職人を呼び集めるなどし、質の高さを堅持している。
 
 そして17年には、JR東日本で「トランスイート四季島」、JR西日本で「トワイライトエクスプレス瑞風」の豪華寝台列車がそれぞれ運行を開始する予定だ。ななつ星と同様、クルーズ客船のように高級感ある客室やダイニングルーム、展望室などを備え、数日間かけて観光地を巡る。
 
 トランスイート四季島をデザインするのは秋田新幹線「E6系」や八戸線のレストラン列車「東北エモーション」などを手がけてきた工業デザイナーの奥山清行氏。トワイライトエクスプレス瑞風は建築家の浦一也氏や日産自動車出身で東海道新幹線「N700系」などを手がけた工業デザイナーの福田哲夫氏らがデザインする。
 
 15月10日で開業2周年を迎えるななつ星が、予約が取れないほどの人気を維持していることもあり、豪華寝台列車の相次ぐ導入には注目が集まる。

 全国ではこの他にもさまざまな工夫を凝らした観光列車が走っている。16年3月には北海道新幹線も開業予定で、全国各地への鉄道でのアクセスがより便利になる。豪華寝台列車の旅で沿線の観光スポットを巡ったり、新幹線で目的の観光列車に向かったり、いろいろな鉄道の旅がアレンジできる。観光列車は沿線の観光資源として、地域の活性化も期待される。
日刊工業新聞2015年10月14日
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
JR東日本の通勤車両「E235系」は11月30日から営業運転が始まります。JR西日本の「花嫁のれん」と「ベル・モンターニュ・エ・メール(愛称・べるもんた)」は、10月からスタートしたデスティネーション・キャンペーンに合わせ、運転が始まったばかりです。

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