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日立に“黒船”来襲、社長自らが呼び込んだ巨額買収の成否

「変革のドライビング・フォースに」
日立に“黒船”来襲、社長自らが呼び込んだ巨額買収の成否

日立の東原敏昭社長

「この新会社設立を黒船来航と例えている」と話すのは、日立製作所の東原敏昭社長。スイス・ABBから送配電事業を買収して、新たに会社を発足させたところ。

「1853年の予期せぬ黒船来航で、当時の日本は大混乱になった」と歴史を語る。ただ、今回は「私が意図して呼び込んだ黒船だ」と巨額買収の意義を強調する。

「日立を真のグローバル企業にするため、変革のドライビング・フォースにしていきたい」と現代の黒船をフル活用。全世界を大混乱させるコロナ禍での船出も前向きだ。

日立は同事業を約7500億円で買収。まず事業会社の株式80・1%を取得。ABBが保有する残りの株式も23年以降に買い取り、完全子会社化する計画。東原社長は「買収新会社『日立ABBパワーグリッド』がフロント(前線)になって送配電網の運用・制御技術とプロダクトに日立のITを組み合わせて、我々の目指す社会イノベーション事業を加速させる」と基本戦略をあらためて語る。従業員数は連結で約3万6000人。

2021年3月期連結業績への影響は確定次第明らかにするが、次期中期経営計画の最終年度の2024年度には企業価値を買収価格の倍にすることを目指す。

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日刊工業新聞2020年7月20日の記事に加筆

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