電機大手が競い合う「タッチレス・ソリューション」、“第2波”防衛なるか
電機大手は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、非接触や抗菌機能を付加した新製品・技術を相次ぎ開発する。日立製作所は行き先階登録ボタンに触れずに済むエレベーターを準備し、コニカミノルタは複合機向けに音声入力技術を開発した。未曽有のパンデミック(世界的大流行)を機に高まった人々の衛生意識が新たな市場を生み出しそうだ。
日立グループの日立ビルシステム(東京都千代田区)はセンサーを使って非接触で利用可能なエレベーターの操作盤を開発する。スマートフォンアプリで行き先階を登録できるシステムも別途開発する。「タッチレス・ソリューションはスピード勝負なので、社内に特別チームをつくって鋭意取り組んでいる」(光冨真哉社長)と新たな商機ととらえる。2020年度内の実用化を目指す。
コニカミノルタは開発した複合機向けの音声入力技術について20年度以降の実装を検討する。「音声認識はコロナ禍で重要な機能になる。スキャンなどの音声指示は非接触ニーズに応えるものだ」(山名昌衛社長)とオフィスのタッチレス需要を狙う。
富士電機は自動販売機の購入ボタンなどを20年秋から抗菌対応にする。ボタンや商品取り出し口の扉に抗菌材料を混ぜて成型するほか、抗菌フィルムを貼る方式も検討する。「手が触れる部分に抗菌対応する。(既設の自販機も)顧客からのニーズがあるので受注改造で対応する」(食品流通事業本部・土井伸介商品企画部長)と準備を急ぐ。小売店舗の自動釣り銭機も接触部分に抗菌対応を施す。セルフレジも増えて、利用する消費者の不安を解消する。
東京都などで新型コロナの感染第2波への不安が高まっており、国民生活に身近な製品でも新たな衛生対策ニーズへの早期対応を迫られている。
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