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アビガンなど併用でコロナ治療に効果あり、東大が確認

東京大学医学部付属病院の土井研人准教授らは、肺炎を発症し、集中治療室(ICU)での治療を必要とした新型コロナウイルス感染症の重症患者を対象に、新型コロナに対する治療薬候補の「ナファモスタットメシル酸塩」と「ファビピラビル(商品名アビガン)」を併用して治療した。患者11人中10人に症状の回復が見られた。

4月6日から21日に入院した36歳から75歳までの患者11人(男性10人、女性1人)に投与し、臨床経過を観察した。体重1キログラム当たり0・2ミリグラムのナファモスタットメシル酸塩を1時間おきに約2週間投与。ファビピラビルは、初日は1日当たり3600ミリグラム、2日目から同1600ミリグラムを約2週間投与した。

10人に症状の回復が見られた。回復した患者のうち、人工呼吸器を使用した患者は7人で、うち3人は心肺補助システム(ECMO)を必要としたが、16日程度で人工呼吸器が不要になった。併用効果を観察する特定臨床研究は、5月から同病院をはじめ、国内6施設で始まり、5月末時点で8施設で行われている。成果は医学雑誌クリティカルケア電子版に掲載された。

両治療薬候補はウイルスの増殖過程での作用部位が異なることから併用による効果が期待されている。

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