始業は7時でも10時でも!JUKIが若手主導で挑む働き方改革の中身
チームごとに課題解決
若手社員が自ら課題を見つけ、経営に参画して解決する―。JUKIはワーキングプロジェクト「OneJUKI」を通じて社員提案型の企業文化醸成に取り組む。同プロジェクトを通じた成果の一つが働き方改革だ。グループアドレスやオープンスペースの整備、健康経営の推進などをボトムアップで実現した。現在は新型コロナウイルス感染症を踏まえ、新たな働き方を若手社員が模索する取り組みも始まっている。(川口拓洋)
OneJUKIは2017年から3期に分けて実施したJUKIの未来のために若手社員が考え、行動するためのプロジェクト。入社10年未満の社員90人が6―7人のチームを作り、メンター(助言)役となる若手管理職「Jリーダー」と経営課題に挑んだ。安西洋コーポレートオフィサー(執行役員)は「経営への参画感や主役の1人という意識の醸成、若手でも経営陣に対して忌憚(きたん)なく提案できる風土などを目指した」と話す。
例えば、あるチームでは働き方改革によってオフィスを再構築した。従来は1人に一つの机をあてがっていたが、部門ごとに自由に席を選べる「グループアドレス」に変えた。資料をデジタル化して書庫も撤去。会議室もオープンスペースに移行した。「毎日同じ席に座るわけではない。さまざまな人とコミュニケーションを取ることで、人のつながりが太くなった」(安西執行役員)という。
別のチームは働き方改革の一環として、暮らしの多様性を尊重する取り組みを提案・実行した。同社の業務時間は7時間45分だが、業務開始時間は7時でも10時でも従業員が選択できる「スライドワーク制」を導入した。
また、健康経営宣言を策定したチームもあり、社長による宣言の発表に結びつけた。健康経営を社内外にアピールするため広報・宣伝(PR)動画を放映したり、外部の食堂運営事業者と連携して「糖質改善フェア」に取り組んだりもした。
各チームの活動期間は約半年間だが、企画や提案で終わらないのがOneJUKIだ。3カ月でチームとしてのテーマを決め、残りの3カ月で実務部門として連携し、成果につなげる。例えば、オフィスのレイアウト変更では総務部門と協働で取り組んだ。
OneJUKIの活動は3期の時限的な活動だったが、定常的に新規事業や取り組みたい企画にチャレンジできる仕組みを作りあげたチームもある。その活動が「ボトムアップチャレンジ」。課題や解決方法、リソースなどをまとめた企画書を提出することで、課題解決に着手できる。
これらの取り組みを通じて「本来業務や、それ以外でも担当役員に『こういうことをやりたい』と提案をぶつけていくようになった」(同)。
決められた業務をこなすだけでなく、社員自らが考え行動する風土の醸成に手応えを感じている。
事業環境が大きく変化する中、現場を知る若手社員が経営課題を「自分ごと」と認識できるようになったのは大きな強みと言える。