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まもなくノーベル化学賞発表。3日連続で日本人の受賞なるか!

注目は「酸化チタン光触媒」や「リチウムイオン電池」。海外勢では話題の「ゲノム編集」など
まもなくノーベル化学賞発表。3日連続で日本人の受賞なるか!

上段が吉野氏(左)と藤嶋氏。下段はダウドナ博士(左)とシャルパンティエ博士


米ブロード研究所のチャン博士は外れる


 一方、特許とは別に、学術界ではシャルパンティエ博士とダウドナ博士への評価が高い。何より、2012年に米科学誌サイエンスでCRISPR/Cas9のゲノム編集手法を初めて報告したのがこの2人だからだ。トムソン・ロイターがノーベル賞有力候補を選ぶ選考基準でも、学術論文の被引用数(引用された回数)から各分野で影響度の高い研究者を割り出している。そのため、USPTOに「先に発明した」と認められはしたものの、論文掲載で後塵を拝したチャン博士は、トムソン・ロイターの候補からは外れてしまった格好。とはいえ、この辺りをノーベル賞の選考委員会がどう評価するかは不明だ。

 チャン博士も手をこまねいているわけではなく、CRISPR/Cas9で遺伝子切断を行うCas9酵素をCpf1という別のたんぱく質に置き換えた新しい手法の開発に名を連ね、25日付の分子細胞学の有力専門誌セルに論文が掲載された。ヒトゲノム計画でリーダーの一人を務めたブロード研究所のエリック・ランダー所長はニュースリリースで、「遺伝子工学を前進させる非常に大きな潜在性を持つ」と研究成果を強調してみせたが、効果はCas9とそれほど変わらず、むしろ特許紛争を回避できる利点の方が大きいのでは、とみる向きもある。

 バイオベンチャーで競争相手に

 チャン博士とダウドナ博士は、それぞれが関わるバイオベンチャーでも競争相手になっている。チャン博士が創設メンバーの米エディタス・メディシン(Editas Medicine、マサチューセッツ州ケンブリッジ)は投資家からシリーズB(ベンチャー企業に対する第2段階の投資)で1億2000万ドルの資金を8月に調達。ダウドナ博士が共同創設者およびアドバイザーを務めるインテリア・セラピューティクス(Intellia Therapeutics、同)も、シリーズBでアトラスベンチャーズやノバルティスなどから7000万ドルを調達したと9月1日に発表した。いずれもゲノム編集による難病治療法を研究しており、投資家からの期待が高い。

 ネイチャー系の学術論文誌ネイチャーバイオテクノロジーは3月、2014年のバイオスタートアップ企業の世界トップ10(今回は11社)を発表したが、エディタス、インテリアともトップ10に選ばれている。

日刊工業新聞2015年09月29日 科学技術・大学面の記事に大幅加筆・修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
もしトリプル受賞にでもなったら、何かと騒がしい安倍政権は大助かりだろう。

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