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京都の名所を360度満喫!VRでアフターコロナの観光需要喚起へ

大平印刷、デジタルコンテンツを軸に新規事業拡大
京都の名所を360度満喫!VRでアフターコロナの観光需要喚起へ

4月に無料配信した国宝障壁画を所蔵する「智積院」のVRコンテンツ

大平印刷(京都市伏見区、水野整社長、075・605・3330)は、デジタルコンテンツを軸に新規事業拡大を加速する。宝ホールディングスの子会社である同社は、酒類ラベルなどの印刷が主力。オウンドメディア(情報発信サイトなど自社メディア)内で展開する仮想現実(VR)コンテンツ配信などに力を入れ新たな価値を創造し、事業拡大と持続的成長を目指す。

本社がある京都の情報サイト「デジスタイル京都」の運営は、グループ会社から約13年前に引き継いだ。立ち上げのきっかけは酒造会社として成長できた地元・京都とのつながりを大切にしたい思いからだ。当初はコミュニケーションツールとして、宝酒造の清酒を提供する老舗の飲食店などを紹介していた。

スマートフォンの普及や観光客の急増などとともに地元住民、観光客など閲覧の対象は広域に広がった。2018年にドローン(飛行ロボット)の撮影サービスを開始。世界遺産である下鴨神社(京都市左京区)など「空から見る京都」の映像を配信すると、アクセス数が伸びた。

「紙かデジタルかの違いだけで、伝えるという目的は同じ。情報の受発信で感度を高め、ビジネスの選択肢を広げたい」(三山口達営業企画部長)と前を向く。そのさなか、新型コロナウイルス感染拡大で越境観光人口が激減。そこで自宅で京都観光を楽しめるよう高精細なVRコンテンツに定評があるタイメージ(京都市上京区)と共同で、4月に京都の観光名所を360度見られるコンテンツの無料配信を始めた。アフターコロナの観光需要喚起を狙う。

また、バーチャルオープンキャンパスで遠隔の学校と学生をつなげたり、企業向けにトップメッセージをリアルタイムで遠隔拠点に配信したりする事業も展開。映像の提案を強化し、印刷事業に偏る事業ポートフォリオを変革し、「デジタルツールを活用したサービスの売上高比率を高めたい」(三山口部長)と意気込んでいる。(京都・大原佑美子)

日刊工業新聞2020年6月5日

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