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唾液のPCR検査続々スタート、島津は8日から

検査キット充実
唾液のPCR検査続々スタート、島津は8日から

島津はバイオセーフティーレベルⅡ+の検査室でPCR検査を行う

島津製作所は4日、受託分析子会社の島津テクノリサーチ(京都市中京区)でPCR検査事業を8日に始めると発表した。京都市から新型コロナウイルスのPCR検査を行う衛生検査所に登録され、当面は1日40検体を検査。需要に応じ1日最大で300件まで検査できる。

4日、島津テクノリサーチ内に設けたバイオセーフティーレベルII+の検査室を報道陣に公開した。医療機関で採取した唾液や鼻咽頭拭い液などの検体について、前処理に島津製の試薬キットを使い、リアルタイムPCR装置にかけ、1時間半程度で1回の検査ができる。島津テクノリサーチの福永秀朗社長は将来的に「検体が少ない時期は医療機関などと提携し、出入国の際に必要となるPCR検査の検体なども扱いたい」とした。

島津は同社の新型コロナウイルス検出試薬キットが、唾液を検体にした場合でも、喉や鼻の奥から採取した検体と同精度で感染有無の結果が得られることを確認。検査時間が従来型PCR検査の約半分の1時間と短く、人手作業を低減する特徴は変わらない。唾液検査は医療従事者への飛沫(ひまつ)感染リスクを低減できる。

日本医師会から唾液検査の提案を受け、精度評価で北海道大学病院が協力し確認した。北大病院は入院患者の手術時に新型コロナ感染症の感染有無を調べるスクリーニング検査で試験的に採用した。

島津は4月20日に同キットを発売。約1カ月間で20万検体分以上の同キットを市場供給した。当初、生産能力は月10万検体分としたが、現在は月30万検体分に引き上げている。

シメックスやみらかHDも

みらかホールディングス(HD)は唾液を用いた新型コロナウイルスのPCR検査の受託を開始した。鼻の奥をぬぐった液を用いる従来法に比べ、医療従事者の感染リスクが低く、患者が痛みを感じることもない。同社傘下のエスアールエル(東京都新宿区)が受託する。厚生労働省が2日、唾液による検査を認めたことで可能になった。唾液による検査は、感染防護具が医療用マスクと手袋だけで済むなど利点が多い。

シスメックスは3日、新型コロナウイルス検査用の「2019―nCoV検出蛍光リアルタイムRT―PCRキット」について、唾液を検体として利用できる追加適用承認を取得したと発表した。公的医療保険の適用となった。同キットは、すでに鼻咽頭拭い液を検体として薬事承認を取得している。唾液でも検査できるようになり、より安全で迅速なPCR検査が可能になる。

唾液を検体とする場合、医療従事者はマスクや手袋の着用といった最低限の感染防御で採取できる。また検査を受ける人の自己採取も可能になる。厚生労働省は2日、唾液を検体に利用するPCR検査を保険適用しており、今後の検査体制の拡充につながる。

タカラバイオは2日、5月に発売したPCRキットで、唾液を検体に新型コロナウイルスの検査が行えることを確認したと発表した。従来の鼻や喉奥のぬぐい液を検体として採取する方法より、被験者への身体的負荷が少ない。採取時のくしゃみやせきによる、医療従事者への感染リスクを低減できる。

同日、厚生労働省が唾液をPCR検査の検体に使えるようにすることを決定。国立感染症研究所が作成する検体採取マニュアルが更新され、同キットは行政検査に使え、公的医療保険の適用対象となる。

同社は5月、鼻咽頭のぬぐい液を検体に、約1時間で反応が出る新型コロナウイルス検出PCRキットを発売しており、月産で200万反応分の能力を持つ。

タカラバイオのPCRキット
日刊工業新聞2020年6月5日

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