総力戦!コロナと戦う中小企業の製品・技術まとめ #02
新型コロナウイルスの感染拡大防止の切り札として、中小企業が独自に開発した製品・技術に熱視線が注がれている。独自の技術力を基に、感染予防に欠かせないマスクや消毒液、飛沫(ひまつ)拡散防止板などを開発。需要が急増していることから、各社は増産に乗り出す。
光触媒塗料で抗菌力アップ
ワエストロ ウレタン畳・マットワエストロ(埼玉県熊谷市、古屋瑞起社長、048・527・1181)は、ウレタン畳・マット「くつろぎシリーズ」にウイルス対策用を追加し、受注を始めた。
従来製品の表面にササミック(大阪市住吉区)製の光触媒塗料「ルミチタンNAG」を塗布して製品化。光量の少ない屋内でも塗布した酸化チタン光触媒を活性化し、雑菌やウイルスの駆除、消臭効果を持続する。
同シリーズはこれまでも抗菌剤が標準加工されていたが、新型コロナウイルス対策の要望が多かったため、より抗菌力を高めた。
サイズは縦815ミリ×横815ミリ×厚さ6ミリメートル、縦1メートル×横1メートル×厚さ6ミリメートルの2種類を用意し、介護施設や保育園、医療機関など幅広い用途を想定する。
非接触センサーを応用
SSC 据え置き型放射温度計SSC(三重県桑名市、服部一彌社長、0594・33・3080)は、顔やモノなどの表面温度を非接触で測定できる据え置き型放射温度計「測太郎(そくたろう)」を発売した。主力製品の非接触型温度センサーを応用し、人の体表面温度などの測定ニーズの高まりに対応する。
事務所の机や受け付けカウンターに置けるスタンド式。物体から放射される赤外線の検知機能により、人が額をセンサー部に近づけると体表面温度を測定し表示する。測定範囲は15―65度Cまで。
各種製造ラインなどに用いられている同センサーは応答速度が速い。薬機法で定める「体温計」ではないが、従業員らの体調チェックなどの用途を想定している。
コロナで前年比8倍増産
フジコー 空気消臭除菌装置フジコー(北九州市戸畑区、萩尾寿昭社長、093・871・3724)は、光触媒技術でインフルエンザウイルスや黄色ブドウ球菌などを除去する空気消臭除菌装置を増産する。新型コロナウイルス感染拡大で受注が急増しており、2020年度は前年度比約8倍の6万台生産する。
「富士の美風 ブルーデオ」は、酸化チタンと抗菌金属を混合した素材を800度C以下で低温溶射し、基材に高密度に密着する被膜形成技術で光触媒の効果を高めた。消費税抜きの価格は2万6800円。北里環境科学センター(相模原市南区)に依頼したネココロナウイルス除去効果試験では、フィルターに付着した2600万個のウイルスが、光照射後4時間で50個未満に減衰した。
染色・縫製、県内企業で完結
北市漆器店 手染め加賀友禅マスク北市漆器店(石川県加賀市、北市博之社長、0761・77・0123)は、石川県の伝統工芸品である加賀友禅の生地を用いた「手染め加賀友禅マスク」を発売した。価格はプリーツ型が1500円(消費税抜き)、立体型が1800円(同)。それぞれ赤と青の2色を用意。同社オンラインショップから送料300円で販売。伝統工芸の力でマスク不足解消に貢献する。
生地の染色や縫製、耳にかけるひもまでを全て石川県内の企業で完結した。家庭用品やインテリアの商品開発、工芸品のセレクトショップの運営を手がける同社は新型コロナウイルス感染拡大が深刻化する中で「華やかなマスクで使用者の気持ちを明るくしたい」としている。
高い抗菌性 月産5万枚計画
LAPO・高木織物 デニム生地の抗菌・消臭マスクLAPO(岡山県玉野市、浅野幸子社長、0863・33・3707)とデニム生地メーカーの高木織物(同井原市)は共同で抗菌と消臭の機能を持つマスクを製品化した。試験機関に抗菌性試験を依頼し、黄色ブドウ球菌と大腸菌が8時間後に99%殺菌したのを確認したという。消費税込みの価格は1枚1500円。
岡山県は国産デニム発祥の地で、高木織物は多様なデニム生地を生産し、国内外に顧客を持つ。LAPOは触媒や光触媒などを販売しており、3年前から高木織物と新たなデニム生地の開発を進めてきた。今回はタングステン酸アンモニウム化合物をデニム生地に浸し、抗菌などの機能を付加した。月に5万枚の生産を計画する。