過去最高益のNEC、コロナ禍でも強さを発揮できる理由
5Gにパソコン特需、国内のITで底力
NECの2020年3月期連結決算(国際会計基準)は、旺盛な国内IT投資に加え、第5世代通信(5G)の固定網の整備やパソコンの買い替え特需などで増収営業増益。当期利益は前期比2・5倍の999億円と過去最高益となった。21年3月期連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症の影響が9月までに収束することを前提に、減収営業増益を見込む。
通信事業者向けや社会公共・企業システムなどの主要5部門の全てが増収となり、売上高が3兆円の大台を回復。21年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標に対して、営業利益を除き1年前倒しで達成した。
国内事業は5G関連やパソコンの特需に加え、自治体・医療向けサービスや航空宇宙・防衛、金融業向けITなどがけん引した。海外事業はデンマークのKMDの新規連結や海底ケーブルなどの増加で赤字幅が縮小したものの、ディスプレーの落ち込みに歯止めがかからず、38億円の営業赤字となった。
21年3月期は新型コロナの影響分として、予想に対して売上高1500億円の下振れや営業利益で400億-500億円の影響を想定するが、新野隆社長は経費削減や新事業の立ち上げなどのやりくりでコロナの影響をカバーし、中期経営計画の公約達成を強調する。
日刊工業新聞2020年5月13日