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PCR検査2万件体制へ、「国研」活用し農水省と文科省が検査協力

農林水産省と文部科学省は所管の国立研究開発法人(国研)などを活用し、新型コロナウイルスを検出する「PCR検査」の強化に向け、検査協力に乗り出した。農水省は厚生労働省の依頼に応じ、自治体から検査を要請された農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)などで開始。文科省は所管する大学の付属病院がすでに検査を実施しているが、理化学研究所など、所管する国研の検査機器や設備を独自に調査し協力準備を整える。政府が目指す1日当たり2万件の検査体制構築に貢献する。

5月8日までに、農研機構は茨城県から33検体を検査。動物検疫所が北九州市から17検体を検査した。1日の最大検査能力は農研機構動物衛生研究部門が24検体。農水省が設置し、検査施設を全国5カ所に持つ動物検疫所が同127検体、動物医薬品検査所(東京都国分寺市)が同18検体という。

文科省は2月に厚労省から大学病院でのPCR検査の協力依頼を受けた。8日時点で全国55の大学病院で91台のPCR検査機器を使用。検査能力は1日1242検体まで段階的に引き上げてきた。

さらに所管の理研や物質・材料研究機構などの国研に対して、検査受け入れに必要な機器などを自主的に調査したところ、PCR検査機器が160台程度あったという。すでに厚労省とも情報共有している。

国内のPCR検査件数はこれまでで1日最大約9400件にとどまっている。全国の地方衛生研究所や保健所などではPCR検査体制がひっ迫。安倍晋三首相は緊急事態宣言延長を決めた後の記者会見で「検査体制を更に拡充する」と強調した。感染拡大の「第2波」が懸念されており、体制整備が急がれている。

日刊工業新聞2020年5月12日

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