花王が下旬から消毒液増産、前年比20倍以上。サントリーも検討
花王は9日、4月下旬から消毒液を増産すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大による需要増加に対応する。生産可能な工場を全て活用し、新たな生産・供給体制を構築した。2019年比で20倍以上増えるという。まずは消毒液の不足が際立っている医療機関や介護施設などに提供する。設備の稼働を上げれば、家庭向けにも供給できる見通し。
和歌山工場(和歌山市)をはじめ国内四つの工場で消毒液の製造認可を月内に取得、生産を開始する。従来、委託先で生産していたが、自社工場でもできるようにした。容器も社内製造し、量を増やす。ポンプの付け替え容器を展開していた製品については、液体をボトルに注ぐ詰め替え容器も生産する。より大量に生産できる。
花王は消毒液需要の高まりを受け、1月後半から増産を続けている。不足が解消しなかったため、新たな生産体制を確立した。花王はドイツ工場でも消毒液の生産を開始する。同国の病院に寄贈する方針だ。さらに、他の国や地域での生産も視野に入れる。
一方、サントリーホールディングス(HD)は9日、新型コロナウイルス感染拡大で消毒液が不足する状況が続く中、国内で消毒液を生産する検討を始めたことを明らかにした。自治体などの要請があれば、生産を開始できるように準備を進める意向だ。国内の酒類メーカーで消毒液の生産を目指すのは初のケースとなる。
サントリーHDの米子会社、ビームサントリーは米ケンタッキー州の要請を受け消毒液の生産を開始しており、同様に日本国内でも逼迫(ひっぱく)する需要に応えたいという。現在、検討に着手したところで、具体的な生産拠点などは明らかにしていない。ただ、ビームサントリーの事例のように、事業会社のサントリースピリッツなどの蒸留設備を持つ生産拠点であれば消毒液の生産が可能とみている。
消毒液は医薬品などの扱いとなるため、同社の生産拠点ですぐに製造することは難しいとする。このため、自治体などからの要請があれば、法令手続きなどを進める方針だ。