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【新型コロナ】町工場に不況の足音…産官金一体の持久戦が始まった

【新型コロナ】町工場に不況の足音…産官金一体の持久戦が始まった

町工場は全社的なテレワーク導入がほぼ不可能(イメージ)

新型コロナウイルス不況の足音が、東京都大田区の「町工場」にも近づいてきた。大手自動車メーカーの工場停止を受け、特に自動車関連の加工を手がける中小企業で受注が急減、工場の停止や半休の準備を進める会社も増えている。大田区は区が利子を負担する特別融資制度の拡充を表明、地元の信用金庫には融資の問い合わせが殺到している。産官金一体の持久戦が始まった。(取材=南東京支局長・鳥羽田継之)

【稼働状況見直し】

自動車部品のメッキ加工を手がけるメイホー(東京都大田区)の江原弾社長は「お客の工場が止まり4月の受注が急減した」と肩を落とす。6日からは13あるラインのうち1ラインを一部停止した。「今後も各ラインの収支を見つつ週単位で稼働状況を見直す」と言う。例年10億円程度の売上高は「今年は7割程度になるかも」と危惧する。

プラスチック部品の成形を手がけるヤシマ(同)の箕浦裕社長も「当社の売上高の95%は自動車用電池部品。その他の需要も落ち込んでおり、今期(2020年7月期)は売上高が15―20%減少するのは避けられない」とため息を漏らす。

電子機器、制御システムのフルハートジャパン(同)の国広愛彦社長も「案件の打ち合わせが急減しており、下期の苦戦が予想される」と分析する。「しばらくは社員の技術研究などに力を入れるつもりだが、影響が長期化すれば工場の稼働停止も検討しなければならない」という。

【限度額引き上げ】

大田区を地盤とする信用金庫には、中小零細企業から融資問い合わせが殺到している。城南信用金庫(東京都品川区)の3月の融資額は400億円以上。前年同月は90億円で、4倍以上になった。そのうち約半分が卸・小売り・製造・建設業だ。「材料不足や、自動車関連の発注停止が響いている」(城南信用金庫融資部融資企画課)。

大田区が本部のさわやか信用金庫も同じ状況だ。3月の融資額は344億円で、前年同月(260億円)から大幅に増加した。営業統括部の小橋敏雄部長は「製造業では自動車関連の下請け企業が多く、当面の資金不足を防ぐための問い合わせが多い」と語る。

大田区は新型コロナ騒動の長期化を受け、区内中小向けの「新型コロナウイルス対策特別資金」の融資限度額を500万円から5000万円に引き上げる。返済期間も引き延ばし中小企業の資金繰りを支える考えだ。

7日の緊急事態宣言により都内の外出自粛が強く要請されたが、製造機械を抱える町工場は全社的なテレワーク導入がほぼ不可能。

また大田区のモノづくりは、中小企業や小規模企業が密集する地域性を生かした迅速・緊密な連携が強みだが、新型コロナによって人との接触回避傾向が続けば、その長所も失われかねない。新型コロナの感染拡大が大田区のモノづくりをジワジワと痛めつけている。

日刊工業新聞2020年4月9日

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