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7月に迫るレジ袋の有料化。消費者に響く削減方法とは?

プラスチック製買い物袋(レジ袋)の有料化が今年7月から全国の小売店でスタートするのに先立って、イオングループやマツモトキヨシホールディングス(HD)など一部の流通大手は、この4月から有料化に踏み切った。一人あたりのワンウェイのプラスチックごみの発生量が米国に次いで二番目に多い日本。世界各地で海洋流出の問題が深刻化するなか、レジ袋の有料化はワンウェイプラスチックに依存した日常生活を見直し、意識を変える第一歩としての意義がある。METIジャーナル4月、5月号は、プラスチックごみをめぐる実情や環境負荷の少ない素材や製品開発の最前線を通じて、持続可能な未来を考える。

行動変革どう促す

今年1月、経済産業省や財務省などの省庁内のコンビニエンスストアで、レジ袋削減に向けたユニークな実証実験が実施された。「ナッジ」と呼ばれる行動経済学の手法を用いることで、消費者にどのように働きかけることが有効か探る狙いだ。消費者がレジ袋の要、不要の意思を示す際に提示するカードに異なるタイプを用いることで、これが辞退率にどう影響するかを比較検証する。例えば、経産省内の店舗ではレジ袋が必要な場合、海岸に漂着したごみの写真がデザインされたカードを提示するが、財務省内では不要の意思をカードで示すだけ。「ナッジ」は直訳すると「ひじでそっとつつく」。選択肢をうまく設計することで、個人の意思決定の自由を尊重しながらも望ましいアクションを促す政策手法としても注目されている。プラスチックごみ削減に向けて、有料化にとどまらず消費者の行動変容に向けた新たな取り組みにも挑戦する狙いだ。

経済産業省内のコンビニエンスストアなどで実施された実証実験

暮らしを支える一方で

プラスチックは、成型しやすく軽くて丈夫。密封性も高いことから製品の軽量化や食品ロスの削減など、さまざまな場面で私たちの暮らしを支えている。

他方、海に流れ込んだプラスチックごみや地球温暖化の問題に直面しているのも事実である。プラスチックをめぐっては、最大の受け入れ国であった中国が2017年に輸入を禁止。同様の措置は東南アジアにも広がり、対策は喫緊の課題となった。海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックなどの海洋ごみ問題についても汚染の実態が報じられたことが社会的な関心の高まりに拍車をかけ、2019年6月に開催されたG20(20カ国・地域)サミットの主要議題のひとつとなり、日本は議長国として議論を主導。2050年までにプラスチックごみによる追加的な汚染をゼロとする国際合意をとりまとめた。

プラスチックごみをめぐり議論が交わされたG20軽井沢会合

総合的な視点で

ただ、年間900万トンに上る国内のプラスチックごみの中で、レジ袋の割合は5%足らず。これを削減するだけでは根本的な解決にはつながらない。普段、何気なくもらっているレジ袋の有料化は、それが本当に必要かを考え、ライフスタイルを見直すきっかけにはなるものの、その先に広がるさまざまな課題や実情に目を向ける必要がある。経済性や技術可能性を踏まえつつ、ライフサイクル全体で資源循環の問題をどう捉えるか。次回以降は環境負荷の少ない素材の導入を進める企業の取り組みや代替素材にまつわる最新の研究などを紹介する。

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