【新型コロナ】相次ぐ式典なき“デジタル入社式”に悲喜こもごも
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、IT業界ではウェブ配信など、式典なき“デジタル入社式”が相次ぐ。大手では4月入社の新社員は数百人規模に上る。今回は、例年通りの集合型の入社式をウェブ配信に切り替えたり、入社式自体をやめて「入社手続き式」としたりするなど、経験のないさまざまな入社式となりそうだ。(取材=編集委員・斉藤実、川口拓洋)
デジタル入社式は苦肉の策ながらも、外資勢が先んじる。日本IBMは4月入社の570人を含めグループ全体で800人以上の新社員を対象に、ウェブで入社式を行う。ウェブ対応の入社式は初の試みとなり、自宅から自前のパソコンやスマートフォンで参加し、視聴できる。
アクセンチュアも4月入社の新社員数百人に対して、ウェブで入社式を実施する。日本ヒューレット・パッカードは「入社オリエンテーション」と称して、4月入社の新社員約80人にウェブを通して、ジャスティン・ホタード社長が英語でメッセージを伝える。
NECは当初、4月入社の新社員500人を数十人規模に分けて、複数の会場で分散型の入社式と研修を計画していたが、3月26日に計画を断念。入社式は中止し、研修はウェブ配信に変更する苦渋の決断となった。
入社式の中止を早々に決定していた富士通は、4月入社の新社員750人を十数人単位にグループ化し、1・2日の両日に研修センター(川崎市高津区)に順次集めて、入社手続きなどを行う。その際に時田隆仁社長のメッセージを大型スクリーンで視聴できるようにする。
日立システムズは4月1日に入社手続き式を実施する。通常通り新入社員を教育施設(横浜市戸塚区)に集めるが、大部屋ではなく複数の部屋に分散して行う。各部屋には通信環境を用意し、新社員約200人に対して、柴原節男社長らのメッセージを配信する。
SCSKも4月1日に予定していた集合型の入社式を中止する。同月7日にウェブを通じて、新社員約300人に向けて谷原徹社長のメッセージなどを配信する。
入社後の研修は、各社ともテレワークをフル活用する。富士通は集合型を基本とするが、今回は出社を週1回程度とし、自宅でのテレワーク形式で受講できる教育に変更して行う。
SCSKは、例年は多摩センター(東京都多摩市)で集合研修を行っているが、今回は4月中は在宅研修を行う。5月以降は状況をみて判断する。
日立システムズは入社後の新人研修の方法は現在検討中。4月中旬まで新入社員を待機させる可能性もあり、研修を実施する場合でも少人数単位で小分けにして行うという。
社会人としての船出から、デジタル漬けの洗礼を受ける新社員の心境はいかに―。