新型コロナがプラスに!?…東芝機械がきょう臨時株総、買収防衛の賛否問う
東芝機械は27日、旧村上ファンド系の投資会社に対する買収防衛策の発動の賛否を問う臨時株主総会を開く。一度は廃止したものを復活させるためであり、発動に異論も出ている。東芝機械は旧村上系に限って一度のみの適用と従来防衛策との違いを強調。これを株主がどう受け止めるかが焦点だ。また、新型コロナウイルスの世界的流行で株価が急落。旧村上系にとってTOB(株式公開買い付け)の短期的なうまみはなく、法廷闘争も辞さなかった当初の勢いは感じられない。(編集委員・六笠友和)
旧村上系のシティインデックスイレブンス(シティ11)は、東芝機械に対するTOBを実施中。4月16日までに保有済みの12%と合わせ最大44%の株式取得を目指している。東芝機械はこれに「強圧的で受け入れられない」(飯村幸生会長兼最高経営責任者〈CEO〉)と強く反発し、取締役会でシティ11を除く株主に新株予約権を割り当てる買収防衛策の導入を決めた。
買収防衛策は経営陣の保身を目的にしてはいけないとするコーポレートガバナンス・コードの原則があり、今回の事例は保身に当たるとの指摘もある。本件限りの導入であり従来防衛策とは明確に異なるとする東芝機械の説明を、株主がどう判断するかがカギだ。
シティ11の親会社のオフィスサポートによれば、米議決権行使助言会社のグラスルイスは反対推奨をした。一方、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズは賛成推奨を公表し、米資産運用会社で東芝機械株の5%を持つブラックロックも賛成を表明したという。
敵対的買収を仕掛けているシティ11だが、ここにきてトーンダウンしているようだ。当初、臨時株主総会での決議は3分の2以上の特別決議を求めたが、過半数で成立とする普通決議に改めた。さらに19日になって、120億円以上の自社株買いという条件付きでTOBから撤退することも明言した。
背景は新型コロナだ。TOBの買い付け価格が1株3456円に対し、新型コロナによる市場の低迷で東芝機械株は一時2000円を大きく割り込んだ。TOB成立は含み損を抱えることになる。皮肉にも株価下落が東芝機械にはプラスに作用している。東芝機械は条件付き撤退の提案を突っぱねて臨時株主総会で株主の意思を問うが、同社のあり方を決める大切な1日となる。
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