日本のベンチャー力ここにあり!「JVA2016」応募開始
中小機構主催、国内最大のベンチャーアワードが今年もやってくる
今年も国内最大のベンチャーの祭典に向け号砲が鳴った。独立行政法人中小企業基盤整備機構(高田坦史理事長)が主催し、革新的で潜在成長力の高い事業や、地域の活性化に資する事業を行っている志の高い起業家を表彰する「Japan Venture Awards 2016」(略称:JVA2016)。過去15回の受賞者には、今やバイオベンチャーの旗手として期待されるユーグレナの出雲充社長(JVA2012の経済産業大臣賞)などそうそうたる顔ぶれが並ぶ。
JVAは、新事業創出や市場開拓に挑む優れたベンチャー企業を発掘、ベンチャー経営者のロールモデルを広く社会に周知することで、次世代の新事業や経営者の育成を目的にしている。前回は、世界最先端技術を活用したオーガニック口腔ケア製品などで、障がい者の仕事創出を目指すトライフ(横浜市)の手島大輔氏(JVA2015の経済産業大臣賞)や、今年6月に東証マーズに上場を果たしたネット型リユース事業を手掛けるマーケットエンタープライズ(東京都中央区)の小林泰士氏(JVA2015の中小機構理事長賞)などが受賞。累計の表彰者総数は241人にのぼり、まさに成長ベンチャーの登竜門にもなっている。
応募締め切りは10月29日(木)。その後、書類や面接などの厳選な審査を経て最優秀の経済産業大臣賞などが決まる。表彰式は2016年2月10日(水)、東京・虎ノ門ヒルズで開催予定。詳細は公式ホームページで。
http://j-venture.smrj.go.jp/index.html
まず、私がなぜミドリムシに関わるようになったのかを話したい。
私はサラリーマンの父と専業主婦の母、それに弟の4人家族で、極めて普通の家庭に育った。当時はまさか自分が起業するとはまったく想像していなかった。
大学に入って18歳で初めて海外にいった。本当はアフリカに行きたかったが、金がかかるため、バングラデシュを選んだ。そこで何か土産を持って行こうと思い、『カロリーメイト』をたくさんトランクに詰めて持っていた。世界には食べ物に困っている人が10億人もいると聞いていたからだ。
しかし、実際に行ってみたら、お腹がすいて困っているという子供など一人もいなかった。いなかったが、食事は毎日カレーライスと豆のスープばかり。肉、魚、卵など動物性たんぱく質や野菜、フルーツが不足していた。問題はハラペコではなく栄養失調だった。
帰国して食べ物についていろいろと調べた。一般的に植物が持つ栄養素と動物が持つ栄養素、両方を併せ持つ生物はほとんどいない。ところがミドリムシは植物と動物の両方の性質を持つとても珍しい生き物だということが分かった。ミドリムシで栄養失調の問題が解決できると考えた。
たとえば、当社が商品化しているミドリムシ1g(5粒)に含まれているビタミンAは、梅干し50gに入っているビタミンAと同量。牛レバー50gに含まれているビタミンB12は、ミドリムシ1gに含まれている量と同じだ。
このほかミドリムシ1gで、イワシまるまる1匹分の葉酸、ウナギの蒲焼き50g分のDHA、アサリ50g分の亜鉛など、さまざまな動植物に含まれる栄養素59種類を摂取できる。しかも、これらの食糧を10億人に簡単に届けることは輸送や保存面でも不可能だが、ミドリムシであれば簡単に10億人に届けることができる。
さらに、ミドリムシからできる油は飛行機に使える。原油からジェット燃料は作れるが、一般的な植物油からは飛行機の燃料は作れない。石油ではなくミドリムシで飛行機を飛ばすことができれば、日本がエネルギー輸出国になる可能性だってある。
ところが他の人は「ミドリムシ」というと「青虫」だと思う人ばかりで話がかみ合わない。「ミドリムシ」は虫ではない。また、大量培養が難しかった。栄養満点だけど、量が足りない。研究室の実験レベルの量しか培養できず、極めてコストが高いという問題があった。
ここで、起業を志す学生さんに言いたいことは、第一に仕事でも研究でも「くだらないものなんてない」ということだ。私は起業する前に銀行で働いていたが、同僚たちは札束をATMに補充する仕事や上司に頼まれたコピー仕事を「くだらない」と言ってやりたがらなかった。
しかし、ATM補充作業は「きょうはゴトウ日(5と10がつく日)だから多めに詰めよう」「雨の平日だから少なめにしよう」など、さまざまな要素を勘案して面白く仕事をしたし、コピー作業もいかに大量のコピーを短時間にこなせるかと頭をつかってやり遂げた。
そうすると「あいつは出来る」となり、面白い仕事、わくわくする仕事がどんどんくるようになった。仕事も会社も、くだらないと思ったらダメだ。
「そんなミドリムシみたいなくだらない仕事なんてやめた方がいい」。起業して以降、さまざまな会社にミドリムシを売り込んできたが、会う人、会う人にそんなことを言われた。しかも当時は月給も10万円しかない。しかし、私たちは「ミドリムシ」をくだらないと考えなかった。
忘れもしない2008年5月に500社目となる伊藤忠商事にやっと「そんなに言うなら買うよ」となった時は感無量だった。1社決まると次々に大企業が集まった。人もどんどん増えて、昨年東証マザーズに社員38人で上場できた。
ミドリムシはくだらなくない。「くだらないと思わない」というのが出発点だ。
JVAは、新事業創出や市場開拓に挑む優れたベンチャー企業を発掘、ベンチャー経営者のロールモデルを広く社会に周知することで、次世代の新事業や経営者の育成を目的にしている。前回は、世界最先端技術を活用したオーガニック口腔ケア製品などで、障がい者の仕事創出を目指すトライフ(横浜市)の手島大輔氏(JVA2015の経済産業大臣賞)や、今年6月に東証マーズに上場を果たしたネット型リユース事業を手掛けるマーケットエンタープライズ(東京都中央区)の小林泰士氏(JVA2015の中小機構理事長賞)などが受賞。累計の表彰者総数は241人にのぼり、まさに成長ベンチャーの登竜門にもなっている。
応募締め切りは10月29日(木)。その後、書類や面接などの厳選な審査を経て最優秀の経済産業大臣賞などが決まる。表彰式は2016年2月10日(水)、東京・虎ノ門ヒルズで開催予定。詳細は公式ホームページで。
http://j-venture.smrj.go.jp/index.html
ユーグレナ・出雲社長が信じる「459回挑戦したら99%成功する法則」
ニュースイッチ2015年5月24日公開
まず、私がなぜミドリムシに関わるようになったのかを話したい。
私はサラリーマンの父と専業主婦の母、それに弟の4人家族で、極めて普通の家庭に育った。当時はまさか自分が起業するとはまったく想像していなかった。
大学に入って18歳で初めて海外にいった。本当はアフリカに行きたかったが、金がかかるため、バングラデシュを選んだ。そこで何か土産を持って行こうと思い、『カロリーメイト』をたくさんトランクに詰めて持っていた。世界には食べ物に困っている人が10億人もいると聞いていたからだ。
しかし、実際に行ってみたら、お腹がすいて困っているという子供など一人もいなかった。いなかったが、食事は毎日カレーライスと豆のスープばかり。肉、魚、卵など動物性たんぱく質や野菜、フルーツが不足していた。問題はハラペコではなく栄養失調だった。
帰国して食べ物についていろいろと調べた。一般的に植物が持つ栄養素と動物が持つ栄養素、両方を併せ持つ生物はほとんどいない。ところがミドリムシは植物と動物の両方の性質を持つとても珍しい生き物だということが分かった。ミドリムシで栄養失調の問題が解決できると考えた。
たとえば、当社が商品化しているミドリムシ1g(5粒)に含まれているビタミンAは、梅干し50gに入っているビタミンAと同量。牛レバー50gに含まれているビタミンB12は、ミドリムシ1gに含まれている量と同じだ。
このほかミドリムシ1gで、イワシまるまる1匹分の葉酸、ウナギの蒲焼き50g分のDHA、アサリ50g分の亜鉛など、さまざまな動植物に含まれる栄養素59種類を摂取できる。しかも、これらの食糧を10億人に簡単に届けることは輸送や保存面でも不可能だが、ミドリムシであれば簡単に10億人に届けることができる。
さらに、ミドリムシからできる油は飛行機に使える。原油からジェット燃料は作れるが、一般的な植物油からは飛行機の燃料は作れない。石油ではなくミドリムシで飛行機を飛ばすことができれば、日本がエネルギー輸出国になる可能性だってある。
ところが他の人は「ミドリムシ」というと「青虫」だと思う人ばかりで話がかみ合わない。「ミドリムシ」は虫ではない。また、大量培養が難しかった。栄養満点だけど、量が足りない。研究室の実験レベルの量しか培養できず、極めてコストが高いという問題があった。
ここで、起業を志す学生さんに言いたいことは、第一に仕事でも研究でも「くだらないものなんてない」ということだ。私は起業する前に銀行で働いていたが、同僚たちは札束をATMに補充する仕事や上司に頼まれたコピー仕事を「くだらない」と言ってやりたがらなかった。
しかし、ATM補充作業は「きょうはゴトウ日(5と10がつく日)だから多めに詰めよう」「雨の平日だから少なめにしよう」など、さまざまな要素を勘案して面白く仕事をしたし、コピー作業もいかに大量のコピーを短時間にこなせるかと頭をつかってやり遂げた。
そうすると「あいつは出来る」となり、面白い仕事、わくわくする仕事がどんどんくるようになった。仕事も会社も、くだらないと思ったらダメだ。
「そんなミドリムシみたいなくだらない仕事なんてやめた方がいい」。起業して以降、さまざまな会社にミドリムシを売り込んできたが、会う人、会う人にそんなことを言われた。しかも当時は月給も10万円しかない。しかし、私たちは「ミドリムシ」をくだらないと考えなかった。
忘れもしない2008年5月に500社目となる伊藤忠商事にやっと「そんなに言うなら買うよ」となった時は感無量だった。1社決まると次々に大企業が集まった。人もどんどん増えて、昨年東証マザーズに社員38人で上場できた。
ミドリムシはくだらなくない。「くだらないと思わない」というのが出発点だ。