日産が初のPHV投入へ、ベース車は何になる?
来年めど、「キヤシュカイ」全面改良に合わせ
日産自動車は、同社にとって初のプラグインハイブリッド車(PHV)を2021年をめどに欧州で発売する。スポーツ多目的車(SUV)「キャシュカイ」の全面改良に合わせて設定する計画。三菱自動車のPHVシステムを活用し、開発や生産のコストを抑える。厳しくなる欧州の環境規制に対応する。
キャシュカイPHVは、英国のサンダーランド工場で生産する計画。「当面、数量規模は小さい」(日産関係者)という。現時点でPHVモデルの日本市場への投入計画は未定。キャシュカイは、かつて日本でも「デュアリス」のモデル名で販売されていた。
キャシュカイは日産の欧州市場における最量販車種で、18年度は同社の欧州販売の4割を占める25万5000台を販売した。人気モデルにPHVを設定し、電動車の需要を掘り起こしたい意向。日産は22年度に欧州販売台数の半分を電動車とする方針を掲げる。
欧州連合(EU)の環境規制では、21年から域内で販売される新車の二酸化炭素(CO2)排出量を走行1キロメートル当たり平均95グラム以下とすることを全面的に各メーカーに義務付け、達成できない場合には罰金を科す。
メーカーが対応するにはPHVのほか電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)など電動車が不可欠で、今後、各社がモデル投入を積極化する見込み。現在、日系メーカーでは三菱自動車のほかトヨタ自動車、ホンダ、SUBARU(スバル)がPHVを市販している。トヨタは20年にSUV「RAV4」のPHVを日米、欧州で発売する計画。
富士経済(東京都中央区)は35年にPHV世界市場が18年比17・8倍の1103万台に拡大すると予測する。
日刊工業新聞2020年3月3日