経済悪化に新型肺炎も追い打ちの韓国、4月の総選挙はどうなる?
4月に総選挙を控える韓国。北朝鮮との南北融和を目指す文在寅大統領の政治思想が政権運営の全ての根幹にあり、その内向きな姿勢が韓国経済の悪化を誘発したとの見方がある。新型肺炎の感染拡大も追い打ちをかけかねない。文政権や総選挙の行方について愛知淑徳大学ビジネス学部の真田幸光教授に聞いた。
―文大統領政権をどう評価しますか。
「文氏の政治スタンスの唯一にして最大のポイントが北朝鮮との南北融和の実現だ。南北融和のためなら経済や外交が少しくらい犠牲になっても良いと本気で考えている。韓国国民も南北融和を声高に否定できない民族的な感情を持つ。結果、文氏は朝鮮半島ばかりに目がいき、保護主義的な姿勢に陥っているように見える」
―韓国経済が悪化しています。
「文氏は元々弁護士で経済に詳しくない。国内の格差問題を是正するために低所得者の賃上げなど利益の分配を重視したが、多くの中小企業が倒産し、失業率も悪化した。経済が低迷しても文氏がどこか涼しい顔をしているのは、自身の政治理念に加え、ロシアが関わる土地開発事業への参画など他国をあてにしているからだろう」
―文大統領はどのように南北融和を実現させるのでしょうか。
「北朝鮮との南北融和の実現には多額の資金が必要になる。ただ自国で資金を捻出する気はなく、北朝鮮と協調し日本から得ようとしている。徴用工問題はその手段の一つで、日本に意図的にしかけたものであり、解決のしようがない。(徴用工問題では)日本は韓国を相手にせず、国際社会に日本の正当性を発信し、国際世論を形成すべきだ」
―韓国は同盟国である米国との関係を変化させつつあります。
「韓国の今のスタンスは完全に『離米・従中』といえる。韓国は南北融和のために最大の貿易相手国である中国や北朝鮮と近い関係にあるロシアを重視したい。米国もそれに気づいている。米国が在韓米軍駐留費の負担増を強く要請しているのは、韓国に対する“踏み絵”だ」
―4月の韓国総選挙の行方は。
「文政権の今後を占う重要なターニングポイントになる。文氏は南北融和が進めば軍備を強化しなくて済み、徴兵制がいらなくなると主張し、若者やその母親らが賛同している構図がある。保守系が総選挙で勝てばこれまでの流れが少し変わるが、革新系が勢力を維持する可能性を頭の片隅に置いておく必要がある」
【記者の目】
文大統領は今後も自身の悲願である北朝鮮との南北融和のためには手段を選ばないように見える。4月の韓国総選挙の動向を注視する必要がある。日本は文政権に振り回されることなく、特に韓国側の国際法違反の状態にある徴用工問題では、国際社会に日本の正当性を説明することに力を入れるべきだ。