300億円利益下振れのユニクロ、韓国・香港はボロボロだけど他国は大丈夫?
2020年8月期通期連結業績予想を下方修正した「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング。韓国の日本製品不買運動や香港デモの影響で海外ユニクロ事業の業績が落ち込んだ上、暖冬で防寒衣料の販売が不振だった。19年9―11月期の下振れが大きく、韓国と香港の現状から海外ユニクロ事業は減益を見込む。
20年8月期は売上収益が前年同期比2・2%増の2兆3400億円(19年10月公表時は2兆4000億円)、営業利益が同4・9%減の2450億円(同2750億円)、当期利益が同1・5%増の1650億円(同1750億円)を見込む。韓国、香港を除き、その他アジアやオセアニアは好調。国内ユニクロ、ジーユー事業は通期で増収増益を見込む。
海外では昨年12月にはベトナムに1号店(ホーチミン市)がオープン。ユニクロはベトナムを主力な製造拠点の一つと位置付け、年間30億ドル(3200億円強)相当の商品を生産しているが、今後は順調に拡大する個人消費を狙い、製造と販売一体で同国における事業拡大を目指す。スウェーデンのH&Mなど欧米大手が先行するベトナム市場に攻勢をかける。
一方、コスト削減も加速させている。サプライチェーン改革加速のため、産業用ロボットの知能を開発するMUJIN(東京都江東区)と仏ロボットシステムメーカーのExotec Solutionsと協業。在庫の最適化や生産のリードタイム削減などを目指す。19の国・地域にある78の倉庫(19年11月時点)を対象に自動化を進めるなど一連の改革に1000億円規模を投じる計画。
柳井正ファストリ会長兼社長は「今回の改革は3年から5年かかるが、できるだけ3年に近づけたい」と強調する。顧客情報に加え、企画から生産、物流、販売までの情報を一元化することで、在庫の最適化とリードタイムの削減を図る。またこれらの情報を精査し、顧客が欲しい分だけ生産する販売計画をタイムリーに更新できる仕組みに切り替え、無駄な生産を回避する。