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EVの電池残存寿命、1分で評価するシステム

東洋システム(福島県いわき市、庄司秀樹社長、0246・72・2151)は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池など電動車搭載の電池パックの充放電残存寿命を数秒から1分前後と、ほぼリアルタイムで精密に計測・評価できる試験技術を開発した。特許を取得すると同時に、自動車関連メーカーと共同研究の覚書を交わし、近く実証実験に乗り出す。

自動運転中でもデータを遠隔で解析、評価装置を置けば簡単に計測・評価できる。電動車の電池の最適なリユースを低コストで実現できる。電池の評価システムはこれまで電気化学的視点で開発してきたが、今回は電気化学に物理的な視点も融合して新しい技術を生み出したという。

これまで電池の寿命評価は生産時点からの評価となり、電池使用時の温度、負荷変化が及ぼす電池への負荷の影響は含まれていなかった。今回は生産段階はもとより、使用中でも電池の寿命・安全評価ができる。電池寿命評価の誤差は5%以内でトップデータは2%。

これまで電池寿命の評価は時間がかかり、誤差率も数十%と高かった。こうした課題を克服する計測技術の実用化に向け、自動車関連メーカーと共同で事業化に乗り出す。いわきバッテリーバレー推進機構(福島県いわき市)を中心に、近く福島県内で実証実験に入り環境保護と経済活動を両立した事業化を進める。

東洋システムは二次電池評価システム装置の開発と製造、評価事業で世界トップの実績を持つ。2019年10月期の売上高は53億円。

日刊工業新聞2020年1月10日

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