引き合い強く量産開始へ、三菱電機の「青空照明」の仕組み
三菱電機は、空や自然光を表現できる発光ダイオード(LED)照明「青空照明」の量産を2020年度中に始める。三菱電機照明(神奈川県鎌倉市)の掛川北工場(静岡県掛川市)で生産する見込み。同商品は屋内の快適性向上に多くの需要が見込まれている。
掛川北工場はLED照明を製造する主力工場の一つ。蛍光灯照明用のランプも生産していたが、20年3月に終了予定。製造ラインの跡地を青空照明用に充てる計画だ。
三菱電機は18年に青空照明の技術を開発。パネルの内部に青空が見える仕組みと同じ「レイリー散乱」を起こす光散乱体がありLED光を当てることで発生した散乱光で青空を表現する。窓のない会議室や病院、地下街などの空間演出や快適性向上に役立ち、発売前から引き合いが強いという。
三菱電機の強みは製品の薄型化。LED光源をパネルの端に配置する方式を採用しており、照明構造を厚さ100ミリメートル以下に抑制した。光源をパネル上部に配置する従来方式では製品の大型化が課題だった。
調光・調色機能も備えており、時間に合わせてLEDの発光量を調整することで夕焼けや朝焼けを表現できる。光束が3000ルーメン程度あるため、ディスプレー式と異なり単体で照度を確保するための照明として使用できる。
空や自然光を表現するLED照明はイタリアのスタートアップ企業、コールクスが手がけており、パナソニックも窓型のディスプレーに空や水面などを表示する空間演出システム「天窓照明」を19年7月に発売している。
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日刊工業新聞2019年12月30日