ファナックも三菱電機も…ロボット事業、中国で拡大の事情
ファナックは中国でロボット事業の基盤を拡充する。広東省広州市、重慶市、湖北省武漢市で事業拠点を新設し、大幅に刷新した。ロボットに周辺機器を組み合わせて生産システムを構築するエンジニアリング機能などを強化する。自動車や情報機器など地域で異なるニーズにきめ細かく対応する。また三菱電機も中国需要を反映したロボットを開発して販売を始めた。中国市場は足元で低迷しているが、両社は中長期で成長が見込める自動化需要を取り込む。
ファナックが広州市に新設した事業拠点「テクニカルセンター」は、同市と深圳市でサービスを中心に手がけてきた拠点を統合。建屋面積を従来の2拠点合計と比べ13倍超の約2万5000平方メートルに拡張した。
重慶市と武漢市に新たに設けた拠点でも、建屋面積をそれぞれ同120倍の約1万2000平方メートル、同42倍の約1万平方メートルに拡張。保守部品の倉庫なども大幅に拡充する。
3拠点では溶接や組み立てなど用途に応じたロボットシステムの開発、ユーザー向けの教育、ショールーム機能なども併設する。システム開発、供給、適用試験、サービス体制を強化し、現地ニーズに迅速に対応する。
三菱電機は2018年に江蘇省常熟市の工場でロボットの生産を開始。現地ニーズを把握するためロボット開発の技術者も配置した。日本の開発陣と連携して小型の垂直多関節ロボットを開発。クリーンルーム仕様をなくすなど日本で開発した機種と比べ機能を絞り込み、価格競争力も高めた。中国だけでなく世界で販売を始めた。
日本ロボット工業会によると2019年1―9月期の中国向け輸出額(会員企業のみ)は前年同期比21%減少した。ただ中国南部や内陸部では自動車、スマートフォン、電子機器製造受託サービス(EMS)関連企業などが集積。米中貿易摩擦など不透明要因はあるものの、人手不足や製造の高度化などを背景にロボット市場の拡大が見込まれる。