グローバルに活躍するビジネスリーダー育成、カギは「留職」
東京海上グループが新たな取り組み
東京海上グループが人材育成の新たな取り組みを進めている。グループの女性社員向けキャリアカレッジを開講したほか、社員を新興国に派遣する「留職」プログラムを開始。M&A(合併・買収)を活用して海外保険事業を深耕する中、グローバルに活躍できるビジネスリーダーの育成を急ぐ。
留職プログラムは、特定非営利活動法人であるクロスフィールズの海外派遣プログラムを活用。東京海上日動火災保険の入社3―10年目までの若手社員5人をフィリピン、カンボジア、ラオス、ベトナムに派遣した。人事企画部の木村修課長代理は「国内外を問わず能動的に課題を設定し、解決に導くことができる人材育成につなげたい」という。
単なる留学ではなく原体験を通じてプロジェクトを遂行できるかが試される内容だ。例えば、カンボジアでは水を安定して確保するソリューションの開発、ラオスでは酪農に従事しながら乳製品の日本市場の開拓戦略を立案する。5カ月の限られた期間で、人脈を一から作り上げて実行する力が求められる。
留職制度を導入した背景には、東京海上ホールディングスのグローバル展開がある。同社は自然災害などのリスクに対応するため事業ポートフォリオの分散を推進。2019年度の事業別利益に占める海外保険事業の割合は予想ベースで47%まで拡大している。アジア・新興国は約1割だが、将来は2倍に高める方針。現地での実体験を通じてグローバル感覚を養う。
日刊工業新聞2019年12月10日