林業の課題は、異業種連携で解決?
林野庁は林業の課題を解決するビジネスプランを競うプログラム「サステナブル・フォレスト・アクション」の審査会を開き、最優秀賞に上原郁磨さん(リデン)と小島淳史さん(林業経験者)らの異業種混成チームを選んだ。上原さんらは副賞100万円を活用し、環境学習と木を植える「造林」の課題解決を結びつけたプランの事業化に挑む。
プログラムは異業種の技術や人材を活用するオープンイノベーションによって林業の新ビジネスを発掘しようと初開催した。ITや商社、ベンチャー、森林組合などの参加者が15チームを結成し、9月からビジネスプランの検討を開始。林業体験や合宿を経て12月、都内で審査会に臨んだ。
最優秀賞に輝いた上原さんらのプランは、一般の人に環境学習と林業体験を提供する。体験で伐採した木材は家具に加工して参加者に届ける。体験の場を提供した森林所有者は収入や森の手入れのきっかけになる。
優秀賞は2チーム。木下裕介さん(住友商事)や森下昌彦さん(NSD)ら4人の混成チームは、森林所有者が自身の森の位置を確認できるアプリケーション(応用ソフト)開発を提案した。アプリ上で管理や相続、売買の相談ができる。井上達哉さん(VUILD)と谷茂則さん(谷林業)のチームは独自コインを発行し、都市部に住む森林所有者と林業関係者のつながりを築くプランを発表した。2チームには副賞50万円を贈った。
林業は課題が山積する。個人所有の小規模な森林が多く、世代交代や転居、木材価格の低迷で管理意欲をなくした所有者も多い。伐採後に木を植える造林が滞ると山が荒廃するため、林野庁は造林を緊急性の高い課題としている。同庁の長崎屋圭太整備課長は「造林に直接かかわるプランは少なかったが、造林の課題にも向き合えたので評価できる」と振り返った。
<関連記事>
世界の建築家・隈研吾はなぜ木材を多用するのか
日刊工業新聞12月12日