ANAが都内に「ローカル5G」導入の狙い
総合トレーニングセンター、教育・人材育成を効率化
ANAホールディングス(HD)は2020年度にも、東京都大田区の総合トレーニングセンターに、自営の第5世代通信(5G)「ローカル5G」を導入する。センターでは高度な教育や訓練を施すため、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの最新技術を活用している。5Gの高速大容量、低遅延、多数同時接続といった特性を組み合わせることで、学習効果の高いプログラムを実現し、効率的な人材育成につなげるのが狙いだ。
4月に運用を開始した総合トレーニングセンター「ANA Blue Base(ブルーベース、ABB)」に、5Gインフラを構築する。ABBは安全やオペレーション品質の向上をはじめ、人材育成の拠点と位置付ける施設。最新鋭の各種シミュレーターをはじめ、実際の環境に極めて近い状況を、設備とともにVRのような情報通信技術(ICT)で再現して、経験を積めるようにしている。
5Gの活用では、ウエアラブルデバイスを使って教官と訓練生が映像を共有することなどを想定。高速大容量および低遅延の通信により、ベテランの視点移動や行動を精細な映像でリアルタイムに伝えられる。多数端末を同時接続できるため、多くの訓練生を一度に教えることが可能で、訓練の効率も上がる。
ABBにはこれまで羽田空港周辺に点在していたANAグループの訓練、教育、研修機能を集約した。敷地面積3万平方メートル規模を誇る日本最大級の訓練施設であり、各種訓練機器の導入で機能の充実を進めている。順次、稼働を始めており、20年6月以降には施設内の一般公開も予定している。
日刊工業新聞2019年11月28日