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統計から見るコンテンツ産業早わかり。パチンコ苦境、好調なのは?

統計から見るコンテンツ産業早わかり。パチンコ苦境、好調なのは?

パチンコホールは長期下落

経済解析室では、指数を身近なものとして使っていただけるよう、第3次産業活動指数においても、第3次産業に属する個々のサービスを、特徴に応じてグループ分けした系列を作成・提供している。ここでは、コンテンツに関連する産業でグループ化した「コンテンツ関連産業指数」を紹介する。

皆さんはコンテンツ関連産業と聞いて何を思い浮かべるだろうか。「コンテンツ産業」とは、一般に、映像(映画、アニメ、TV番組)、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームなどの制作・流通を担う産業の総称と言われている。 

「コンテンツ関連産業指数」も、この考えに基づきつつ、第3次産業活動指数の内訳系列の中から、これと関連する産業を集めて作成している。下表にあるとおり、ゲームソフトや映像などを制作して流通させるという供給側に近いサービスから、映画館や遊園地などのように消費者(需要側)に近いサービスまでを広く含めた構成となっている。

指数は低下傾向

コンテンツ関連産業でも、多くの産業にみられるように、東日本大震災時、前回の消費税率引上げ時(2014年4月)に相対的に大きな落ち込みが確認できる。東日本大震災時の落ち込みからは回復をみせたものの、前回の消費税率引上げ以降は回復がみられず、右肩下がりの傾向がグラフから読み取れる。

スマートフォンなどのデバイス上で世界中の誰もが、いつでも、どこでもさまざまなコンテンツを楽しめるようになった時代に、コンテンツ関連産業が低下傾向というのは意外に感じられる方もいるだろう。

伸びるスマホ向け配信業務

内訳系列のグラフを見ると、コンテンツ関連産業内での好不調がはっきりと浮かび上がる。街中では、ちょっとした待ち時間や移動時間にも、スマートフォンを用いて、ニュース配信、動画、オンラインゲームなどを楽しむ方を多くみかけるが、そうした楽しみを支える「コンテンツ配信業務 (注)」と「ゲームソフト」はやはり好調である。

遊園地・テーマパークについては、目下、東京オリンピック・パラリンピック開催(2020年7月~)に伴う訪日外国人の取り込みが関心テーマとなっており、業界の2強と呼ばれる東京ディズニーリゾート、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのオリンピック開幕前のオープンを目指した大規模なエリア開発が話題になっているが、この間も、業界全体の指数(入場者数を元に算出)は緩やかに上昇している。

他方、これら以外のコンテンツ関連産業については長期的に低下傾向がみられ、業種により好不調がくっきり分かれている。

規制強化の影響も

下のグラフは、コンテンツ関連産業の前年比について、内訳系列で寄与度分解したものである。近年上昇に寄与した系列で目立つのは、やはりゲームソフトである。

他方、下落に寄与した系列で目立つのはパチンコホールだ。長期にわたる低下寄与の背景には、20代・30代といった比較的若い世代でパチンコをする人が減っていることや、パチンコの射幸性を抑制するための規制も影響していることが考えられる。

2019年に入ってようやく下げ止まりの様子が見受けられるが、社会全体が依存問題に注目するようになり、2018年に成立したギャンブル等依存症対策基本法に基づく基本計画によると、今後業界に求められている取り組みとして、パチンコホールにおけるATMなどの撤去や、本人同意のない家族申告による入店制限の導入などが挙げられており、業界にとっては厳しい状況が続きそうだ。

こうしたパチンコホールがコンテンツにどのように関連しているのだろう?という疑問がわく方もおられるかもしれない。人気のパチンコ台の中には、人気アニメーション、漫画、ゲームといった他のコンテンツとタイアップした機種も多く、そうしたコンテンツのファンがパチンコホールの新たな顧客となる。

一方、アニメなどの産業の側としても、ライセンス料が手に入ることやアニメなどの宣伝になることなど、各産業が相互に影響を受けながら存在するという側面もある。

いずれにしても、コンテンツ関連産業指数に関しては低下が続いているが、業種ごとに好不調がくっきりと分かれる中、パチンコホールの低下が指数を押し下げている様子が見られる。

(注)ソフトウェアの開発を行わず、インターネット上で映像、音楽、文章、オンラインゲーム等を配信する業務。ただし、不動産情報、気象情報及び経済情報等の情報を収集・加工し、情報を提供する業務は、「情報サービス業」の「データベースサービス」となり含まれない。また、販売物が物品である場合には、「小売業」となり含まれない。

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