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沖縄地方の砂浜、気候変動で価値消滅

 国立環境研究所、海洋研究開発機構、甲南大学の研究グループは携帯電話の位置情報を使って砂浜の観光的な価値を推定し、西日本ほど気候変動がもたらす海面上昇によって将来に失う価値が大きいことを明らかにした。産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えても、沖縄地方の砂浜は価値が消滅してしまう。

 携帯の位置情報から全国536の海水浴場の訪問者数を取得し、旅費を基にして砂浜の「レクリエーション価値」を推定した。現状だと夏季の砂浜は場所によって最小4865円、最大3613万円と価値に大きな差があった。

 次に海面上昇などで砂浜が減った場合の価値の変化を予測した。沖縄以外では九州、瀬戸内、東海地方も価値の減少が大きかった。また、砂浜よりも価値の減少率が大きくなる傾向も分かった。研究チームは、砂浜保全の優先順位の検討に将来価値も考慮する必要があると提言する。
日刊工業新聞2019年11月1日

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